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粋々農業女子

【3】のちの神戸ビーフ愛注ぎ 森脇牧場(兵庫県新温泉町)森脇芙紗さん(32)、佃みのりさん(26)

2019.06.25
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「ビビリだったり、人懐っこかったり。性格が違ってかわいい」と声をそろえる森脇芙紗さん(左)と佃みのりさん=兵庫県新温泉町春来、森脇牧場

「ビビリだったり、人懐っこかったり。性格が違ってかわいい」と声をそろえる森脇芙紗さん(左)と佃みのりさん=兵庫県新温泉町春来、森脇牧場

 真新しい牛舎で100頭を超す母牛と、子牛約80頭を育てる肉牛繁殖農家。

 「ビビリだったり、人懐っこかったり。1頭1頭性格が違う。どの牛もかわいいんですよ」。“牛飼い”を継いだ夫の妻、自身の牧場を持つ夢を追う女性。立場は違うが、牛への思いを尋ねると、声をそろえて笑みを交わした。

 兵庫県市川町の会社勤めの父と母の元で育った森脇さん。短大卒業後に朝来市の会社で働き、夫雄一さん(31)と出会った。牧場近くの実家を初めて訪ねた車中、回りは緑ばかり。「本当に家にいくの」と何度も聞き返したという。

 25歳での結婚を機に生活は一変した。午前5時半ごろから朝食までに餌やりやふんの掃除。昼の休憩後も夜まで作業が続いた。「動物を飼った経験もなく、牛になめられ、蹴られて怖かった」と振り返る。結婚の2年後、雄一さんが2棟の牛舎で父から独立。「自分たちの牛を育てなければ」と夫と牧場を切り盛りする。

 牛を引き、1袋25キロの餌袋を抱える重労働にも汗を流す。5歳の長男と3歳の長女は牛舎でベビーカーに乗せながら育てた。

 独立直後は流産や死産が続き、夫とふさぎ込んだことも。出産が近ければ夫は牛舎に宿泊。立ち会える時には、脚を震わせ、声を上げる母牛に「頑張れ、もう少し」と一緒に応援する。

 佃さんは西脇市出身。競走馬を育てる父の背中を見て、畜産の世界を志した。播磨農業高校を出て、県立農業大学校当時、雄一さんの父の牧場で40日間研修した。芙紗さんが結婚した直後。互いに「年が近く話しやすい姉妹のよう」と話す。「牛を大事にする農家になりたい」と30代での独立を目標にする佃さん。芙紗さんは「頑張るみのりちゃんを応援していたい」といずれ来る時を心待ちにする。(山路 進)

【メモ】子牛は生後7~10カ月で市場に出荷し、肥育農家に託す。約2年後には、兵庫県産高級ブランド牛肉の神戸ビーフや但馬牛になる。