プライムニュース
国内外最新ニュースの核心に迫る

連続視標「審判の焦点-2021決戦」6-1政治 政策の違い明示せよ
 低投票率でゆがむ民意 東京工業大准教授 西田亮介
  • 印刷
 東京工業大の西田亮介准教授
拡大

 東京工業大の西田亮介准教授

 東京工業大の西田亮介准教授

 東京工業大の西田亮介准教授

 岸田文雄首相が衆院を解散し、今月31日の投開票に向けて論戦が繰り広げられる。コロナ下、国民の審判で問われるものは何か。識者6人に聞いた。

   ◇   ◇  

 政権選択と直結する衆院選は本来、各政党が課題を解決するための政策を有権者に提示し、論戦を交わすべき場で民主主義の礎である。だが、歴代最長となった安倍政権、菅政権、現在の岸田新内閣と続き、与野党の議席数格差と野党の低い政党支持率が固定化した。それだけに政権選択の戦いという機運は高まっていない。

 だからといって、政治に対して諦めにも似たムードが広がる状況は、民主主義にとって好ましい事態ではない。安倍内閣の時は国政選挙を低い投票率の中で勝ち続け、政治的影響力を維持してきた。直近の国政選挙では投票率は全体で50%前後まで下がり、いくつかの選挙では40代以下の世代で半数を切っている。

 投票しない人が増える傾向が強まり、今や、低投票率は若い世代の問題ではなくなりつつある。投票率向上の普及啓発の必要性が叫ばれて久しいが、顕著な改善は見られない。内閣府の世論調査を見ても、国民は民意が十分に政策に反映されていると認識しておらず、根強い政治不信とも無関係ではないだろう。

 その結果、2017年の衆院選では、得票率約48%の自民党が全289議席の約74%に当たる215議席を獲得。小選挙区制を軸とする選挙制度下、死票が多くなり民意が反映されにくいゆがみが浮かび上がる。

 岸田文雄首相は「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」を訴えている。株価と大企業の利益、選択と集中を重視してきたこれまでの政策の流れを変える主張だ。分配に目を向けて生活を重視する政策は、立憲民主党をはじめとする野党が求めてきた。

 それゆえ、方向性としては与野党が重なり合うイメージとなり、有権者には、対立の構図が見えにくい。新型コロナウイルス感染症もあり、与野党ともに積極財政を打ち出す。一般に、争点が不明確な選挙に対する関心は低下しがちだ。

 従って、衆院選で与野党は政策の具体像とロードマップ、他党との違いを国民に分かりやすく説明しなければならない。とりわけ野党は政権を担当していないだけに、絵に描いた餅との批判を浴びないよう実現可能性も明示する必要がある。

 分配重視は好ましいが、同時に成長戦略も欠かせない。過去30年、日本は世界の経済成長から取り残されている。脱経済成長という声もあるが、全く非現実的だ。脱デフレと経済成長はどの政権であっても、少子高齢化の重い負担がのしかかる現役世代、将来世代に欠かせない。与野党でその道筋を議論すべきだ。

 衆院選後、岸田内閣はコロナ対策も含めて大型の補正予算を組むと言う。だが、限られた予算を年長世代に向けるのか、現役世代に割り振るのか。将来世代や産業への投資を優先すべきなのか。あちらを立てればこちらが立たずという関係が目立ち、政治には難しいかじ取りが求められる。

 選択的夫婦別姓やLGBTQ(性的少数者)の問題、気候変動対策など他にも政策課題は山積みだ。中国の軍事的な台頭で安全保障環境も激変している。米国は日本有事で本当に日本の安全保障に貢献してくれるのか、将来を見通した日米同盟の在り方も問われるべき論点である。 

 衆院選を通じて、政治への国民の信頼と期待を取り戻せるかどうか。与野党と立候補予定者の建設的な論議を望みたい。

   ×   ×   

 にしだ・りょうすけ 1983年京都市生まれ。慶応大大学院博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。著書に「メディアと自民党」「コロナ危機の社会学」など。

2021/10/20
もっと見る
 

天気(12月3日)

  • 14℃
  • 7℃
  • 20%

  • 14℃
  • 1℃
  • 50%

  • 14℃
  • 6℃
  • 20%

  • 14℃
  • 4℃
  • 20%

お知らせ