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連続視標「審判の焦点-2021決戦」6-2経済 経済対策の規模は過大
 内容の十分な精査必要 日本総合研究所理事 牧田健
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 10月末投開票の衆院選を控え、与党自民党の「数十兆円規模」をはじめ各党が大規模な経済対策を打ち出している。

 対策の内容を新型コロナウイルス禍からの経済正常化とその後の政策運営に分けて整理すると、正常化について自民党は、感染や医療の状況をにらみつつ観光支援事業「Go To トラベル」の早期再開に前向きだ。

 同時に、コロナ禍で厳しい状況に追い込まれた非正規労働者や子育て世帯、売り上げが激減した中小企業に限定して現金を給付する方針である。このほか国土強靱化などコロナ対策以外にも資金を振り向け、経済全体の底上げを図る意向だ。

 これに対し野党第1党の立憲民主党は、コロナ対策での総額30兆円超の補正予算編成をアピール。時限的な所得、消費減税により幅広い家計への所得支援を実施し、消費主導の景気拡大を目指している。

 経済全体で約22兆円分の需要不足があるとされるが、感染者数が減少し、医療体制への不安が解消しつつある中で、対面型サービス消費の自律的な回復が一定程度見込めることを考えると、対策の規模が過大な感は否めない。内容の十分な精査が必要だろう。

 コロナ後の経済運営を巡っては、以前から分配を重視している立憲民主党だけでなく、岸田文雄新政権も、企業から家計への分配が乏しく消費が低迷したアベノミクスの反省を踏まえて「成長と分配の好循環」を掲げ、分配にも軸足を置いた政策を打ち出している。

 所得格差の拡大を招いた新自由主義の見直しが世界的な潮流となる中、岸田首相は新たに立ち上げる「新しい資本主義実現会議」で格差是正や中間層の拡大に向けた議論を本格化させる方針だ。

 分配の原資を得るにはパイの拡大、すなわち成長も不可欠となる。実際アベノミクス下での低分配も成長力の低下によるところが大きく、その底上げが欠かせない。

 成長戦略について、自民党はコロナ禍で遅れがあらわになったデジタル化の推進を掲げている。生産性さらには成長率を高める上で、どこまで慣行や規制の見直しを断行できるかが問われる。

 また自民党は脱炭素化や先端技術への投資を後押しし、国際競争力を確保していく方針だ。デジタル化や脱炭素化は地方の活性化にも資するだろう。立憲民主党は医療、教育など所得水準とは無関係に誰もが必要とするベーシックサービスの拡充をはじめ、家計の安心こそが持続的な成長につながるとしている。

 いずれにせよ最終的に家計所得が増えることを与野党ともに目指しているが、そのためには安倍、菅政権の時代にも取り組んできた賃上げがなぜ不十分だったかを検証し、実現の道筋を具体化することが求められる。

 課題が山積するわが国経済の再生に向けて当面、財政支出の拡大は避けられない。現状では国内で資金が余剰状態にあり、財政赤字を過度に懸念する必要はないが、立憲民主党は減税の財源として大企業や富裕層向け増税や、所得格差拡大の一因となっている株式売却益など金融所得への課税強化を打ち出している。

 これに対し金融所得への課税強化に当初前向きだった岸田氏は、10日になって「当面は触ることは考えていない」と修正。自民党は公約への記載を見送った。経済を成長軌道に乗せた後、財政健全化への道筋を示していく必要があるだろう。

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 まきた・たけし 1967年、東京都生まれ。東京大卒。2019年から現職。専門は国内外のマクロ経済や国際金融など。

2021/10/20
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