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連続視標「審判の焦点-2021決戦」6-6外交・安保 危機への備えは万全か
 台湾有事、日本に直結 元官房副長官補 兼原信克
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 元官房副長官補の兼原信克氏
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 元官房副長官補の兼原信克氏

 元官房副長官補の兼原信克氏

 元官房副長官補の兼原信克氏

 日本の外交・安全保障を考えるとき、最大の課題は中国への対応である。習近平・共産党総書記(国家主席)は来年秋の党大会で異例の3選を果たし、続投する意向とされる。3期目を挟んだ向こう15~20年、地域の平和と安定を保つことが大切だ。岸田文雄首相は「国民を守り抜く外交・安保」を掲げており、衆院選でも問われる。

 中国は近年、国防費を大幅に増やし、軍備増強を続けている。習氏は台湾の「統一」を「歴史的任務」と繰り返す。軍事的野心を起こさせないために、いくつかの備えが求められる。

 まずは外交。人間関係と同じく、仲間を増やして中国と向き合う。日本は「自由で開かれたインド太平洋」を構想し、米豪印との協力枠組み「クアッド」を通じた連携に乗り出した。

 安保協力もさらに進めていく必要がある。自衛隊は英仏独などの欧州諸国と演習・訓練を重ねている。9月には、米英豪の新しい安保枠組み「AUKUS(オーカス)」も結成された。

 冷戦時代、東西対立の最前線となった欧州には米主導の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)があった。単一の指揮体系の下、同じ作戦計画を共有し、スクラムを組んでソ連に対抗した。

 インド太平洋にはNATOのような集団防衛の仕組みがない。日米などの2国間同盟を基軸とした上で、有志国による枠組みを重層的に組み合わせ、巨大化した中国に対処するしかない。

 とはいえ、人民解放軍の総兵力は200万人以上。国防費は25兆円に迫り、しかも巨額の開発費は計上されていない。米国並みの最新鋭兵器もたくさん保有している。軍事力は圧倒的だ。

 指導者が常に合理的に動くとは限らない。ロシアのプーチン大統領はウクライナのクリミア半島を併合した。習氏は台湾「統一」を果たし、建国の指導者である毛沢東を超えようとしているとも言われる。

 だから、外交が崩れたときの備えがいる。日本最西端の与那国島は台湾から約110キロ。北北東に尖閣諸島、東には石垣島など先島諸島が連なる。台湾有事が起きれば戦域に入りかねない。

 しかし、そうした事態に至り、自衛隊が部隊を送り込む際、それに合わせて政府が何をやるかが詰まっていない。戦闘機離着陸のための空港使用問題や、住民退避の段取りなどだ。

 台湾有事は朝鮮半島と異なり、日本の領土・領空・領海に直結する「異次元」の危機だ。政府全体の対応策を準備し、訓練しておかないと、新型コロナウイルス対応と同じ失敗を繰り返す。

 安全保障に関わる産業・科学政策も必要となる。経済と安保は今や不可分となった。現在の安保の焦点は半導体、人工知能(AI)、量子技術といった領域である。

 米国では、20兆円規模の政府研究開発予算の約半分が国防総省に割り振られ、民間の委託研究にも流れていく。国家安全保障のために高いリスクを覚悟で巨額の研究資金を出している。

 日本では昨年、国家安全保障局に経済班が新設され、経済安保への取り組みが始動したが、このような仕組みはない。重要・新興技術は将来の安保の鍵を握る。米英豪がAUKUSを結成した本当の狙いも、最先端技術の共有にある。(談)

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 かねはら・のぶかつ 1959年、山口県生まれ。81年に東大を卒業し外務省入り。国際法局長を経て2012年に官房副長官補。14年から新設の国家安全保障局次長を兼務。19年退官。現在は同志社大特別客員教授。

2021/10/20
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