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 中国経済の減速傾向が鮮明になってきた。不動産市場の冷え込みと深刻な電力不足による生産への悪影響が主因である。米国に次ぐ第2の経済大国、中国の景気鈍化が続けば、世界経済全体を圧迫しかねない。共産党・政府には慎重な経済政策運営を強く求めたい。

 国家統計局が18日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比で4・9%増と、4~6月期の7・9%増から大きく減速。前期比ではわずか0・2%増と、景気失速寸前の「ゼロ成長」となった。10~12月期も景気はさえないとの見方が多く、警戒を要する。

 不動産市場の悪化は、マンションや都市再開発などを手掛ける企業の過剰債務や不動産バブルに対応するため、当局が借金を増やしにくくする方策を講じているのが要因だ。こうした締め付けは、習近平指導部が貧富の格差解消を目指して掲げた「共同富裕」に沿った措置であるのは論をまたない。

 その悪化を象徴するのが大手の中国恒大集団の経営危機だ。米ドル建て社債の利払い遅延を繰り返し、事実上のデフォルト(債務不履行)状態にあるとみなされても仕方がなかろう。

 政府が不動産市場の健全化を図るのは評価できるが、失敗すれば、不動産関連企業に貸し込んでいる銀行の不良債権が増大して金融不安が生じる恐れがある。2008年に経営破綻し世界的な金融危機の震源となった米証券大手リーマン・ブラザーズの二の舞いにしないよう、恒大をうまく処理することが中国の責務となる。

 電力不足には二つの大きな要因がある。第一は発電の主原料である石炭の高騰だ。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ景気の改善と需要増に伴う世界的な資源高のあおりを受けたためで、採算の取れなくなった発電所が稼働を次々に停止した。

 第二は政府の温暖化対応だ。習指導部が60年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにする目標を掲げ、中央政府から排出抑制を迫られた地方政府が電力の供給制限などを求めたという。来年秋の共産党大会を前に、地方政府が指導部への忠誠を示そうと一斉に要求に動いたのは想像に難くない。

 米大手企業のアップルやテスラに部品を納める業者の中国工場の一部が電力不足で生産を止めた、とされる。部品や製品のグローバルなサプライチェーン(供給網)に支障を来しかねない事態であり、注意が必要だ。

 中国政府は景気悪化を防ぐため、財政・金融のマクロ政策発動を迫られるだろう。だが「こうした措置だけで事態を打開するのは不十分」(日系証券)との声が上がっており、気掛かりだ。

 資源高やサプライチェーンの目詰まりに伴い、多くの国や地域でインフレ懸念が台頭し、コロナ禍からの回復を目指す世界経済は正念場を迎えよう。日米欧の主要先進国は中国経済を巡る一連の懸念も踏まえ、景気の動向をつぶさに監視し、適時適切な措置を講じることが肝要だ。(共同通信編集委員 金沢秀聡)

2021/10/19
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