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肉食の増加と地球温暖化がもたらす感染症の脅威
 次のパンデミックはすぐそこに(3)
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 デング熱などを媒介するヒトスジシマカ(米疾病対策センター提供)  過去にない豪雨に襲われ、島内のあちこちにできた水たまりがいつまでも残っていた=2017年11月、モルディブ・ラーム環礁(共同)  マラリアを媒介するハマダラカの一種。地球温暖化で分布域が広がるとされている(米疾病対策センター提供)  世界最大の淡水湿地、ブラジル・パンタナルから上がる白煙。牧草地開発のために林に火が付けられることも少なくない  生物多様性が豊かなことで知られる世界最大の淡水湿地、ブラジルの「パンタナル」。農地開発や地球温暖化によって縮小や乾燥化が進んでいる。  米国の保護団体、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーションのラッセル・ミッターマイヤー博士  鳥インフルエンザが確認された養鶏場での埋却作業=2020年12月、宮崎県都城市(共同通信社ヘリから)  新型コロナウイルス(左、米国立アレルギー感染症研究所提供)とキクガシラコウモリ(中国科学院などの研究チーム提供)
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 デング熱などを媒介するヒトスジシマカ(米疾病対策センター提供)

 過去にない豪雨に襲われ、島内のあちこちにできた水たまりがいつまでも残っていた=2017年11月、モルディブ・ラーム環礁(共同)

 マラリアを媒介するハマダラカの一種。地球温暖化で分布域が広がるとされている(米疾病対策センター提供)

 世界最大の淡水湿地、ブラジル・パンタナルから上がる白煙。牧草地開発のために林に火が付けられることも少なくない

 生物多様性が豊かなことで知られる世界最大の淡水湿地、ブラジルの「パンタナル」。農地開発や地球温暖化によって縮小や乾燥化が進んでいる。

 米国の保護団体、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーションのラッセル・ミッターマイヤー博士

 鳥インフルエンザが確認された養鶏場での埋却作業=2020年12月、宮崎県都城市(共同通信社ヘリから)

 新型コロナウイルス(左、米国立アレルギー感染症研究所提供)とキクガシラコウモリ(中国科学院などの研究チーム提供)

  •  デング熱などを媒介するヒトスジシマカ(米疾病対策センター提供)
  •  過去にない豪雨に襲われ、島内のあちこちにできた水たまりがいつまでも残っていた=2017年11月、モルディブ・ラーム環礁(共同)
  •  マラリアを媒介するハマダラカの一種。地球温暖化で分布域が広がるとされている(米疾病対策センター提供)
  •  世界最大の淡水湿地、ブラジル・パンタナルから上がる白煙。牧草地開発のために林に火が付けられることも少なくない
  •  生物多様性が豊かなことで知られる世界最大の淡水湿地、ブラジルの「パンタナル」。農地開発や地球温暖化によって縮小や乾燥化が進んでいる。
  •  米国の保護団体、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーションのラッセル・ミッターマイヤー博士
  •  鳥インフルエンザが確認された養鶏場での埋却作業=2020年12月、宮崎県都城市(共同通信社ヘリから)
  •  新型コロナウイルス(左、米国立アレルギー感染症研究所提供)とキクガシラコウモリ(中国科学院などの研究チーム提供)

 デング熱などを媒介するヒトスジシマカ(米疾病対策センター提供)  過去にない豪雨に襲われ、島内のあちこちにできた水たまりがいつまでも残っていた=2017年11月、モルディブ・ラーム環礁(共同)  マラリアを媒介するハマダラカの一種。地球温暖化で分布域が広がるとされている(米疾病対策センター提供)  世界最大の淡水湿地、ブラジル・パンタナルから上がる白煙。牧草地開発のために林に火が付けられることも少なくない  生物多様性が豊かなことで知られる世界最大の淡水湿地、ブラジルの「パンタナル」。農地開発や地球温暖化によって縮小や乾燥化が進んでいる。  米国の保護団体、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーションのラッセル・ミッターマイヤー博士  鳥インフルエンザが確認された養鶏場での埋却作業=2020年12月、宮崎県都城市(共同通信社ヘリから)  新型コロナウイルス(左、米国立アレルギー感染症研究所提供)とキクガシラコウモリ(中国科学院などの研究チーム提供)

 デング熱などを媒介するヒトスジシマカ(米疾病対策センター提供)

 過去にない豪雨に襲われ、島内のあちこちにできた水たまりがいつまでも残っていた=2017年11月、モルディブ・ラーム環礁(共同)

 マラリアを媒介するハマダラカの一種。地球温暖化で分布域が広がるとされている(米疾病対策センター提供)

 世界最大の淡水湿地、ブラジル・パンタナルから上がる白煙。牧草地開発のために林に火が付けられることも少なくない

 生物多様性が豊かなことで知られる世界最大の淡水湿地、ブラジルの「パンタナル」。農地開発や地球温暖化によって縮小や乾燥化が進んでいる。

 米国の保護団体、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーションのラッセル・ミッターマイヤー博士

 鳥インフルエンザが確認された養鶏場での埋却作業=2020年12月、宮崎県都城市(共同通信社ヘリから)

 新型コロナウイルス(左、米国立アレルギー感染症研究所提供)とキクガシラコウモリ(中国科学院などの研究チーム提供)

  •  デング熱などを媒介するヒトスジシマカ(米疾病対策センター提供)
  •  過去にない豪雨に襲われ、島内のあちこちにできた水たまりがいつまでも残っていた=2017年11月、モルディブ・ラーム環礁(共同)
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  •  新型コロナウイルス(左、米国立アレルギー感染症研究所提供)とキクガシラコウモリ(中国科学院などの研究チーム提供)

 しっとりとした空気が湿地を渡って川べりの草を揺らす。川べりやあちこちに散在する池の周囲にはたくさんのワニが横たわり、すぐそばをカピバラの家族が速足で通り過ぎてゆく。夕刻になるとねぐらに急ぐ絶滅危惧種のスミレコンゴウインコが鳴き交わす声や森のかなたからのホエザルの声が響く-。2001年11月、筆者はブラジル南西部に広がる世界最大の淡水湿地パンタナルにいた。面積は日本の本州に匹敵する大きな湿地だが、ここでは牧畜業のための土地の囲い込みが激しい。ウマに乗って進む道の両側には、有刺鉄線が張られた柵がどこまでも続き、多数のウシの姿を見かける。ウシの頸動脈を鋭い刃物で切って、野外でと畜するシーンにも出くわした。この地は多数の野生生物と人間、そして人間の数をはるかに上回る多数の家畜が相互に関わり合う最前線だ。(共同通信=井田徹治)

 ▽「家畜の惑星」

 動物由来感染症の中には、家畜を経由して人間にスピルオーバー(流出、異種間伝播)するようになる病原体も少なくない。発展途上国を含めて牛肉などへの需要が高まった結果、世界中で飼育される家畜の数は、人口増加を上回る勢いで増えている。世界の食肉消費量は増加が続き、牛の飼育頭数は15億頭近くと、過去50年ほどの間に約3倍以上になった。これが森林破壊の大きな原因となるとともに、自然界での野生動物と人間、家畜の接触の機会を増やす結果となり、動物由来感染症のリスクを拡大させている。

 「この地球はもはや水の惑星ではない。家畜の惑星と言った方がよくなってしまった」-。ある米国の研究者から、こんな言葉を聞いたことがある。

 2018年6月、イスラエルなどの研究者は、地球上の哺乳類のバイオマス(生物量)の60%は家畜が占めるとの試算を発表し、注目を集めた。36%の人間がこれに次ぎ、野生哺乳類のバイオマスはわずか4%でしかない。「家畜の惑星」と言いたくなるのももっともだ。

 限られた種の哺乳類がこれほどまでに数を増やしたことは地球の歴史上、恐らく初めてのことだ。地球の生態系の中でウイルスや寄生虫などは、抵抗力や適応力のない個体に感染し、時には殺すことで生物種の個体数を調節する役割を果たしていると考えられている。米国の保護団体、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーションのラッセル・ミッターマイヤー博士は、これほどまでに数が増えた人間や家畜は、寄生者にとっては格好の「えさ場」となり、感染症の大爆発の一因となることを指摘している。

 1999年、マレーシアのニパ村で流行し、脳炎などで100人以上の死者を出したニパウイルスは、自然宿主のオオコウモリから、養豚場のブタに感染、ブタの体内で変異、増幅されて人間に感染するようになったと考えられている。ニパウイルスの大流行はその後、起こっていないが、他にも鳥インフルエンザや日本脳炎など、肉食の拡大と関連する動物由来感染症は少なくない。米・カリフォルニア大学デービス校のクリスティン・ジョンソン教授らの研究でも、家畜が多くの動物由来感染関連のウイルスを持っていることが示されている。

 ▽人間にとって最も危険な生物

 明るい茶色の砂浜を波が静かに洗い、温かく湿った風が緑のヤシの葉を揺らす。インド洋の島国、モルディブ南部のラーム環礁の小島、マーメンドホーは、この国にある1200もの小さな島の一つだ。「昨年、かつてないような大雨が降った時に、地面が削られ、水が引かずに巨大な水たまりができた。病気を媒介する蚊の繁殖地になり、感染症が増えないかと思うと気が気ではない」-。島唯一の病院の前で、モルディブで温暖化対策に取り組むアフメド・マールーフ氏がこう懸念を口にした。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると産業革命以来、地球の平均気温は1・2度上昇し、人間が温暖化を引き起こしていることは疑う余地がない。気温の上昇や降雨のパターンの変化が、感染症を媒介する生物の分布域を変えることで、温暖化の進行が感染症の拡大につながると懸念されている。

 人間にとってこの地球上で最も危険な生物はなんだと思われるだろうか。それはライオンでもホオジロザメでもない。体重数ミリグラムの小さな昆虫「蚊」である。蚊は人間にとって時には命にかかわるさまざまな感染症を媒介する。発展途上国を中心に年間40万人以上の命を奪うマラリアを媒介するのはハマダラカだ。蚊が媒介する感染症は他に日本脳炎、西ナイル熱など多く、合計で年間83万人が命を落としているという。その数は2位の人間による殺人の58万人を大きく引き離している。「地球上で最も危険な動物」だとも言われるのはこのためだ。そして、人間が引き起こした地球温暖化が招く「気候危機」は、デング熱などの熱帯感染症を媒介する蚊の生息域を増やすことで、感染症拡大の原因となる。蚊が媒介するアフリカのリフトバレー熱、北米や中南米で確認され、齧歯(げっし)類が広げるハンタウイルス肺症候群などが、特に温暖化との関連が高いとされる。

 毎年、多くの人の命を奪っている熱帯感染症の一つ、デング熱が日本に侵入し、大きな注目を集めたことは記憶に新しい。温暖化の進行によって病気を媒介する蚊の生息域が拡大し、これらの感染症の拡大につながることが指摘されて久しい。都市の人口密集やヒートアイランド現象がこれに拍車を掛ける。

 ▽感染者10億人増加

 2020年1月、米ジョージタウン大などの研究グループは「地球温暖化の進行は動物の分布を変え、ウイルスが野生動物から人間に移行する機会を大幅に増やす」とのコンピューターシミュレーションの結果を発表し、新たな動物由来感染症発生の危険性を警告した。

 研究グループによると、人間に感染する可能性があるウイルスは最大60万種ともいわれ、その多くが野生動物を宿主としている。今後の温暖化の進行によって、3870種の哺乳類の分布がどう変化し、人間が暮らす場所とどう重なるかなどを、コンピューターを使って予測したところ、温暖化が進むと、標高の高い地域や高緯度地域に多くの哺乳類の分布が広がり、接触の機会も増えてウイルスが人間を含めた他の動物種にも感染する可能性が大幅に増えるとの結果が出た。

 新たな動物由来感染症の原因となりやすいのは、ネズミなどの齧歯類、コウモリ、人間を捕食することがある大型哺乳類だったが、中でも移動能力が高いコウモリのリスクが大きいことも分かった。ウイルス感染の可能性が高まるのは、アフリカ東部、インド、中国東部、フィリピンなどの人口が多い国々で、グループは、これらの地域で監視態勢を強めることが重要だとした。

 ジョージタウン大の別の研究グループは、温暖化が進むと今世紀末にはヒトスジシマカなどが媒介するデング熱やチクングニア熱の感染者が今世紀末には10億人も増える可能性があることを指摘。中国の研究グループは、温暖化が進むと寄生虫の宿主である巻き貝の数が増え、住血吸虫症が増えると警告しているし、日本の環境省も、今後、デング熱の感染拡大、日本脳炎やマラリアの発生などが懸念されるとしている。

2021/10/14
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