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 性犯罪規定の主な検討課題
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 性犯罪規定の主な検討課題

 性犯罪規定の主な検討課題

 性犯罪規定の主な検討課題

 性犯罪を適切に処罰するため、刑法の規定を見直すかどうかの本格的な検討が法制審議会で始まる。実態に合った法改正を望む被害者団体は法制審に先立って法務省の検討会に参加したが、結論は先送りに。法律の専門家がメンバーの大半を占めることに変わりはなく、法制審で当事者の声がどこまで反映されるのかは見通せない。識者は、日本の性教育の遅れが議論の障壁になっていると指摘する。

 ▽個人的な感覚

 「専門家としての見識やエビデンス(科学的根拠)ではなく、性に対する個人的な感覚で話しているように思える場面が多い」。被害当事者で会社員の池田鮎美さんは検討会の議事録を読み、そう感じた。

 検討会では、仕事をもらうために性的関係を持つといった「枕営業」も話題となり、こうしたケースを処罰対象とすることに否定的な意見が出た。池田さんは取引先の関係者から性暴力を受けた。「枕営業は私のような被害者を黙らせるために作り出された幻想。地位や立場を利用した性暴力が非常に多いという深刻さに向き合っていない」

 別の日の会合では、法律家の委員が「民事訴訟や職場での懲戒処分とすべき事件もある。刑罰は最終手段」と法改正に慎重な見解を表明した。池田さんは、これにも首をひねり「非正規労働者や就職活動中の学生といった弱い立場の人ほど狙われるからこそ、法律で明確に禁じる必要がある」と訴える。

 ▽社会の認識

 被害者側が強く願うのは「相手の同意を得ない性行為は許されない」という認識が当たり前になることだ。検討会もこの考え方には同意しているが、法律の条文にどう落とし込むかで意見が割れた。同意のない性交の処罰を求める被害者側に対し「同意の有無を確認するのは難しい。処罰対象の範囲を拡大すれば冤罪を生む恐れがある」との反対意見が出た。

 ただ、欧州などでは不同意性交を処罰する流れが進む。スウェーデンでは2018年、自発的な性交でなければ犯罪とみなす法律の規定ができた。琉球大の矢野恵美教授(刑事法)によると、改正法施行までに、被害者保護の充実や「何が加害行為となるか」を子どもに教える施策が進められた。施行から3年経過しても元に戻そうという議論は起きていないという。矢野教授は「同意の有無を慎重に捜査しており、冤罪は問題になっていない」と話す。

 ▽同意の概念

 同意の有無を処罰の要件にすることが理解されづらいのは、日本で「性的同意」という考え方が教えられていないためだとの見方もある。検討会では複数の委員が性教育の遅れを指摘。委員で目白大専任講師の斎藤梓さんは「性的同意の概念が十分浸透していないことは共有されていた。法改正と性教育はいずれも重要で、どちらも進めていくべきだ」と語る。

 過去に特別支援学校で行われた性教育が政治家から「過激だ」などと批判され、教員が処分を受けた。そのため日本では性教育を避ける風潮が強まった。文部科学省がモデル校を選び、性被害や性加害を防止する教育を始めたのは21年度になってからだ。

 ただ、性教育に詳しい一橋大の水野哲夫非常勤講師は「被害にどう対処するのかに主眼を置き、性を人権との関係で捉えていない。本当の意味での性暴力根絶にはつながらないのではないか」と懸念する。

2021/9/17
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