プライムニュース
国内外最新ニュースの核心に迫る

米国の環境問題 気候変動、縮む巨大湖
 米ユタ州、健康被害も 35年で3割に、解決遠く
  • 印刷
 米ユタ州グレートソルト湖、ソルトレークシティー
拡大

 米ユタ州グレートソルト湖、ソルトレークシティー

 米ユタ州グレートソルト湖、ソルトレークシティー

 米ユタ州グレートソルト湖、ソルトレークシティー

 米西部ユタ州ソルトレークシティー近郊の巨大湖、グレートソルト湖が干上がりつつある。湖に流れ込む途中の取水や気候変動により、湖の面積は35年前の3割弱に。住民らの健康被害も出ているが解決の道のりは遠い。

 2002年冬季五輪の開催地としても知られるソルトレークシティーの中心部から車で北西に40分。乾いた大地の先で、鳥たちが餌を求めて羽ばたいていた。ピンクや青緑色に変化するグレートソルト湖の塩分濃度は、海水の3%強に対し5~28%。ひとなめすると、その名の通り塩辛い。

 同湖の面積は現在、琵琶湖(約670平方キロ)の4倍近い約2500平方キロ。湖から流れ出る川はなく、山々に降る雪が解けて流れ込む水の量と、湖からの蒸発量で水位が決まる。変動は大きく、1986年は近年最大の約8500平方キロにまで広がった。

 異変には米航空宇宙局(NASA)も警鐘を鳴らす。4年前より湖底の露出が増えた衛星写真を公表。今年7月23日の平均水位が「1875年の測定開始以来で最低」だったと指摘した。

 「安すぎる水の価格が元凶だ」。地元で地質調査などを長年続けるユタ大のケビン・ペリー准教授(53)はこう訴える。ペリー氏によると、ソルトレークシティーは全米主要30都市の中で水道料金が最低水準で、1人当たりの使用量も多い。湖に達するまでに大量の川の水や地下水が生活用水や農業用水として消費されている。

 気候変動も問題の悪化に拍車を掛ける。温暖化によって雪ではなく雨となって山に降り注いだ水は、そのまま土壌に染みこみ、湖まで達しなくなってきているためだ。湖の縮小は生態系の危機を招くだけでなく、「干上がった大地から舞い上がる粉じんで健康被害も出ている」という。

 改善を求める声を受けて水の使用量は減少傾向にあるが、それ以上に人口が増え、節水はままならない。「みんなが安い水を望み、政治家も(値上げの)不人気施策に尻込みする」。粉じんでかすむ街並みを前に、ペリー氏は悩みを吐露する。

 世界では中央アジアのアラル海や南米のポーポ湖、アフリカのチャド湖など過剰な取水や干ばつ、気候変動で「消えゆく湖」(国際連合)が多発している。異常気象への対策が世界的に意識され、日本をはじめ主要国では二酸化炭素(CO2)排出量に応じて負担を増やすカーボンプライシングの議論も本格化している。

 「現状を知ってもらうことが大事」。ペリー氏らは住民に湖を訪れてもらう地道な活動で「私たちの行動を変えなければならない時だ」と訴える。(ソルトレークシティー共同=金友久美子)

2021/9/16
もっと見る
 

天気(10月24日)

  • 21℃
  • 12℃
  • 10%

  • 20℃
  • 10℃
  • 20%

  • 21℃
  • 11℃
  • 0%

  • 22℃
  • 10℃
  • 10%

お知らせ