プライムニュース
国内外最新ニュースの核心に迫る

  • 印刷

 日経平均株価は14日、急伸し、3万0670円で取引を終え、1990年代初頭のバブル経済崩壊後の最高値を更新した。菅義偉首相の退陣の意向表明で、次期政権の経済政策への期待が高まったためだ。ただ期待先行の面は否めず、相場は危うさをはらむ。慢心は禁物で、企業には成長戦略の強化を通じた株高を目指してほしい。

 3日、菅氏は自民党総裁選に立候補せず、再選を断念する考えを示した。唐突な退陣表明であり、本来ならば政局混迷の思惑から株価が急落してもおかしくないのだが、表明前の2日から14日までの間、日経平均は7%強上昇し、過熱感を帯びるなど、相場は意外な反応を示した。

 国民の間に、現政権の新型コロナウイルス対策への強い不満があったのは論をまたない。緊急事態宣言の発令期間の長期化などで、生活や企業活動に及ぼす悪影響が大きくなったからだ。菅氏がトップの座を降りることになったのをきっかけに、経済活性化に向けた新たな政策への期待が一気に市場に広がったと言える。

 しかも退陣表明後、株を買う材料は増えつつある。新規のコロナ感染者数は全国的に減少傾向にあり、田村憲久厚生労働相は10日「順調に感染が減っていけば、9月の終わりごろには多くの地域で(宣言が)解除できる水準まで下がってくる」と指摘。政府は希望者へのワクチン接種が終わる11月ごろをめどに、宣言下でも都道府県をまたぐ旅行や出張を認め、飲食店の酒類提供制限を緩める方向だという。

 過去最高値圏で推移する米国やドイツの株価指数に比べて日経平均には割安感もあり、投資家が「今は買い場」とみるのも無理はない。野村証券は、日経平均が今年末に3万2000円まで上がると予想している。

 半面、総裁選は9月29日に投開票され、衆院選は11月の公算が大きい。次の政権が本格的に稼働するのはまだ先であり、具体的な政策が実行に移されるまでには長い時間を要する。投資家は留意してしかるべきだ。

 デルタ株以外に感染力が強い変異株が今後、現れないとも限らない。株式市場を巡る先行き不透明感は依然、拭えていないのが実情である。

 日経平均が過去最高値の3万8915円を付けたのはバブル経済真っ盛りの1989年末だった。その後、バブル崩壊に伴う金融危機やデフレなどに直面したとはいえ、米中に次ぐ第3の経済大国、日本の株価指数が30年以上も過去最高値を下回る水準にあるのは異常だ。今回の株高は期待先行型ではあっても、相場の長期停滞を打破する機会になるかもしれない。

 この機会をものにするためにも総裁選で候補者は骨太な政策論争を交わし、次期政権には経済の構造改革を通じた生産性や成長率の向上に注力することを大いに期待したい。企業には感染の動向をにらみつつ、在るべき事業や組織の姿を不断に追求し、収益拡大を図ってもらいたい。(共同通信編集委員 金沢秀聡)

2021/9/15
もっと見る
 

天気(10月24日)

  • 21℃
  • 12℃
  • 10%

  • 20℃
  • 10℃
  • 20%

  • 21℃
  • 11℃
  • 0%

  • 22℃
  • 10℃
  • 10%

お知らせ