国際

  • 印刷

 日本の複数の教科書で旧日本軍の従軍慰安婦の表記から「従軍」が削除され、国内外で波紋を広げている。この表記は4月に閣議決定され、教科書会社が採り入れた。教育問題や歴史研究に携わる人々は「教育への政府の不当介入」「軍が関与した史実が正しく伝わらない」と批判している。

 「歴史研究や教育的配慮を抜きに、政府が用語まで問題にするのは学問研究や出版の自由を踏みにじる」。教科書問題に取り組む市民団体「子どもと教科書全国ネット21」は17日、東京で記者会見した。鈴木敏夫事務局長は「『従軍』がなければ軍の関与や強制性が分からない」と懸念する。

 閣議決定後の5月、加藤勝信官房長官は記者会見で「文部科学相が訂正を勧告できる」と述べ、表記変更を迫った。各教科書会社が訂正を申請し、今月8日に文科省が承認した。会社関係者は「文科省と闘い、教科書が採択されなくなって経営が傾くのをみんな恐れている」と語る。

 韓国外務省当局者は10日、「大変遺憾だ」として日本政府に従来の歴史認識を覆さないよう要求。中国外務省も13日「史実を曖昧にしている」と主張した。

 閣議決定は、朝日新聞が慰安婦に関する故・吉田清治氏の証言記事を虚偽と認め、2014年に取り消したことを挙げ「従軍慰安婦という用語は誤解を招く」と明記。朝鮮半島から日本本土への労働者動員を「強制連行」とひとくくりにする表現も適切でないとした。

 日本人慰安婦の研究がある「社会理論・動態研究所」の木下直子研究員(社会学)は、慰安婦問題の実証研究は吉田証言を採用せず、他の膨大な公文書や証言の収集、分析に依拠していると指摘。「加害性が薄れた表現になり、生徒たちは日本と周辺諸国になぜ歴史問題の不和があるのか理解しにくくなるのではないか」と話した。(共同)

国際の最新
もっと見る
 

天気(10月24日)

  • 21℃
  • 12℃
  • 10%

  • 20℃
  • 10℃
  • 20%

  • 21℃
  • 11℃
  • 0%

  • 22℃
  • 10℃
  • 10%

お知らせ