真っ赤な体に、黒色の斑点。リズムよく揺れる首。赤い牛の張り子人形で、福島県会津地方の伝統工芸品「赤べこ」だ。新型コロナウイルスの感染が拡大する中で迎えた新年。加古川市加古川町粟津、あかりの鹿児(かこ)資料館では、疫病よけの祈りが込められた赤べこをはじめ、各地に伝わる牛の郷土玩具約100点を展示している。
日本では天然痘を防ぐまじないとして、遅くとも江戸時代から赤いものを飾ったり、身に着けたりする習慣があったという。赤べこは愛らしい外見も重なり、子どもに贈ることが多かったらしい。斑点は天然痘にかかった痕とされる。
同館では、神戸市の収集家から寄贈された計2千点以上の郷土玩具を所蔵。毎年、干支(えと)にちなんだ企画展を開いており、今年のテーマは「郷土玩具展-干支の牛・丑(うし)・ウシ」。大小5点の赤べこや、米俵を背負った牛の伏見人形(京都市)など、北は青森県、南は佐賀県までの作品が並ぶ。
同館学芸員の横山奈央子さんは「牛は、かつて人の身近にいた存在。郷土玩具を見て、その歴史を感じてほしい」と話す。企画展は2月28日まで。同館TEL079・421・2191
(千葉翔大)
