小中学校特別支援学級の元教諭らが12月1日、兵庫県の加古川、高砂市にまたがる高御位山(たかみくらやま)の成井登山口近くで、障害者の就労継続支援B型事業所「ファームハウスなるい」(加古川市志方町成井)を開所させる。作物の栽培やカフェでの接客を通じ、知的障害などがある人たちの就職を後押し。施設長の筧(かけひ)千秋さん(65)=高砂市=は「開放的な環境で、ゆっくり自立を目指してほしい」と話す。(千葉翔大)
筧さんは25年間、中学校の特別支援学級に勤務。進路指導の一環として同様の作業所を見学し、「定年退職後は卒業した子どもたちが働ける場所をつくりたい」と考えたという。
退職から1年後の2017年、築30年以上の空き家を改装し、前身となるNPO法人の事務所を構えた。所有する田畑で育てた作物を売ったり、カフェを開いたりして、事業所に移るための資金にした。
事業所は、豊かな自然に囲まれる。約38年間、小学校の特別支援学級で教えた原田早苗さん(65)=加古川市=ら4人が職員として働き、筧さんの友人たちもボランティアとして支える。
作業時間は平日の午前9時半~午後3時半で、利用者には、田畑で米や野菜の栽培に取り組んでもらう。飲食業界への就職を希望する人には、運営するカフェでの接客を体験してもらうことも考えているという。
筧さんは「お米や野菜を育てることで達成感が生まれ、利用者の自信につながる。家庭的な雰囲気の事業所にしたい」と意気込む。
定員10人で、18歳~60歳が対象。見学希望者は、同事業所にメール(アドレスnarui578@ares.eonet.ne.jp)か、電話(TEL079・440・1525、金、土曜のみ)で申し込む。
