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受賞記念コンサートで歌う田中唯介さん=十輪寺
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受賞記念コンサートで歌う田中唯介さん=十輪寺

 終戦後の約4年間、シベリアに抑留された体験をアコーディオン演奏とともに弾き語っている田中唯介(ゆいすけ)さん(95)=兵庫県高砂市=が、「シベリア抑留記録・文化賞」の功労賞に選ばれ、同市高砂町横町の十輪寺で16日、贈呈式と記念コンサートが開かれた。田中さんは訪れた約20人を前に、重労働や飢え、寒さで戦友が相次いで亡くなった過酷な日々を歌い上げた。(斉藤正志)

 田中さんは現在の播磨町出身。19歳で召集され、中国東北部・満州の奉天(現瀋陽)で終戦を迎えた。ソ連兵に「トーキョーダモイ(東京へ帰す)」と言われて列車に乗ったが、旧ソ連のバイカル湖に着いて、だまされたことに気付いたという。

 カラガンダ(現在のカザフスタン中部の都市)の収容所に入れられ、れんがの材料になる土の採掘作業などに従事。食事はわずかなパンとスープだけで、空腹で意識がもうろうとしながら働いた。抑留3年目に貨車の積み荷を降ろす作業中に転落し、指3本の先を切断した。

 シベリア抑留記録・文化賞は、シベリア抑留者支援・記録センター(東京)が、当時の体験についての優れた記録や表現活動をたたえるため、2015年に創設。田中さんは、音楽を通して後世に伝えているほか、京都府舞鶴市の舞鶴引揚記念館の建設資金集めに尽力したことも評価された。

 十輪寺では、同賞の選考委員を務めた前大阪経済法科大学長、藤本和貴夫さん(82)が「シベリアから帰国後、音楽活動を通じて、平和の尊さを伝えてきた」と賛辞を贈り、賞状と記念品を手渡した。

 コンサートで、田中さんは「マイナス40度という極寒の中、戦友たちがどんどん倒れていきました」などと語り掛けながら、ロシア民謡などを披露。帰国直前にナホトカでの土木作業中、貨車からの転落時に命の恩人だった戦友が、土砂崩れに遭って生き埋めになり、必死で助け出そうとしたが亡くなったことも、切々と語った。

 田中さんは「賞に恥じることのないように、生きることの意味を、体が動く限り音楽で伝え続けたい」と話した。

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