粘りの強いとろろと高い栄養価で知られる「山の芋」の収穫が、兵庫県丹波篠山市内の畑で最盛期を迎えている。畝全体を覆う「つる」のじゅうたんが茶色に染まった晩秋、つるをめくって土を掘ると、丸い形の芋が顔を出す。
市内の山の芋栽培は江戸期に始まったとされる。1970年代には約240ヘクタールの栽培面積を誇ったが、近年は40ヘクタール未満に減った。畝に稲わらを敷き詰める作業やほぼ毎日の「つる直し」、収穫などほとんどが手作業の重労働。作り手を増やすため、省力化の研究も進められている。
同市味間南の畑では、JA丹波ささやま山の芋部会長の平野正憲さん(73)が10月末から収穫に励んでいる。「掘ってみるまでどんな山の芋が出るか分からないから、ギャンブルのようで面白い」と平野さん。つるをめくり、傷つけないよう優しく土を掘って、大人の拳より大きな芋を一つ一つ収穫していった。(金 慶順)
