駅弁の歴史や現状、業界の将来について、JR各社の駅の販売業者でつくる日本鉄道構内営業中央会(東京)と、年間約170日駅弁を食べ歩くという旅行ジャーナリストの小林しのぶさんに聞いた。
同会によると、駅弁の発祥は神戸駅や上野駅など諸説あるが、最も有力なのは1885(明治18)年、宇都宮駅(栃木県)で旅館、白木屋が販売した竹の皮で包んだおにぎり。4年後に姫路駅で現在のまねき食品(兵庫県姫路市)が白飯とおかず13種類を箱詰めしたのが、幕の内駅弁の発祥という。
日清、日露、太平洋戦争で移動する軍人向けに需要が高まった駅弁。近年は、高速化や窓の開かない特急列車の登場、コンビニの増加などで徐々に減少。同会の会員も今年1月末時点で87社と、1960年代後半の約5分の1に減った。
一方で、品質は大きく向上。メディアなどで「駅弁女王」の異名を持つ小林さんは「コンビニ弁当や駅ナカの発達で業界は縮小しているが、競合により味は格段に良くなった」と話す。
オフィスの昼食やお土産など旅以外で食べる人が増え、新型コロナウイルスの影響でテークアウト需要も拡大。小林さんは「地元の食材や郷土料理を使う駅弁は日本の食文化の一つ。気軽に手に取って、地域の食の魅力を見つめ直してほしい」と話す。(竜門和諒)
