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福廼家で弁当を作り続ける社長の福井好二さん(左)と料理長の知之さん=朝来市和田山町東谷
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福廼家で弁当を作り続ける社長の福井好二さん(左)と料理長の知之さん=朝来市和田山町東谷
甘辛いたれに漬け込んだ「但馬の里和牛弁当」=朝来市和田山町東谷
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甘辛いたれに漬け込んだ「但馬の里和牛弁当」=朝来市和田山町東谷
陶器の器に但馬牛や栗などを盛り付けた「こだわり釜めし」=朝来市和田山町東谷
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陶器の器に但馬牛や栗などを盛り付けた「こだわり釜めし」=朝来市和田山町東谷
ふたを開けると牛の鳴き声がする「モー牛牛づめ」。マスコミ取材も多く、高い人気を誇った(福廼家総合食品提供)
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ふたを開けると牛の鳴き声がする「モー牛牛づめ」。マスコミ取材も多く、高い人気を誇った(福廼家総合食品提供)
箱の首が伸びる仕掛けが施されたダチョウ肉の「とってもヘルシーDAチョーン」(福廼家総合食品提供)
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箱の首が伸びる仕掛けが施されたダチョウ肉の「とってもヘルシーDAチョーン」(福廼家総合食品提供)

 電車旅の楽しみといえば、景色を眺めながら食べる駅弁という人も多いはず。全国の主要駅には、王道の幕の内から地域の特産品を使ったご当地弁当まで多くの商品が並ぶ。兵庫県但馬でも、JR和田山駅前の「福廼家(ふくのや)総合食品」(朝来市和田山町東谷)が弁当を作っていると耳にした。あれ、駅弁なんて売っていたっけ? 駅にそれらしい場所はないが、近くの社屋を訪ねると確かに「駅弁」の文字が。同社4代目の福井好二社長(58)が「今は駅を出てもらわないと買えないのですが、2種類を売っています」と迎えてくれた。創業112年になる駅弁店を紹介する。(竜門和諒)

 社屋には“昭和感”漂う事務室に調理場、かつて喫茶室としても使われていた部屋がある。現在は企業向けの産業給食や、観光バスで訪れる団体ツアー客への販売が中心。但馬牛を甘辛いたれに漬け込んだ「但馬の里和牛弁当」(1080円)と、陶器の器に但馬牛やマツタケ、栗などを盛った「こだわり釜めし」(要予約、1100円)の駅弁2種類を用意している。

    ◇

 同社は和田山駅開業から3年後の1909(明治42)年、福井さんの曽祖父にあたる初代の好太郎さんが創業した。福井さんは25歳のときに父の晴二さんから事業を引き継いだが、既に列車の高速化などで駅弁産業は低迷していたという。福井さんは危機感を抱き、アイデア勝負に出た。

 但馬牛をふんだんに使った「モー牛牛(ぎゅうぎゅう)づめ」は、開けると、ふたの裏に貼ったセンサーが光に反応して「モー、モー、モー」と鳴く仕掛け。特許も取得した。また、当時は珍しかったダチョウの肉を使った「とってもヘルシーDAチョーン」は、ダチョウの絵の首が伸びるパッケージの仕掛けで人気を得た。

 福井さんが最も力を注いだのが、全国から同業者が集まる百貨店主催の「駅弁大会」だ。京王百貨店新宿店(東京)が2000年に開いた大会では、山菜ご飯と但馬牛を別々によそった和牛弁当を出し、山形県の米沢牛丼弁当との東西対決に。初めての実演販売だったが、「関西の薄味が通用しなかった」といい、大敗した。それを機に、白飯に直接但馬牛を盛る現在のスタイルに改良したという。

 約15年前に阪神百貨店(大阪市)が開いた大会では釜飯を販売し、最長4時間待ちの行列ができた。香ばしい湯気が広がり、熱気に包まれた百貨店のフロアを懐かしく思い出す。

    ◇

 かつてはホームで駅そばの販売や売店を手掛けていたが、販売数量の減少などで撤退を余儀なくされた。1990年ごろには約20人の従業員がいたが、今は弟で料理長の知之さん(53)と2人だけで切り盛りしている。配送で社屋を空けることも多く、会員制交流サイト(SNS)で「買えない駅弁」とやゆされることもあるという。

 しかし、各地の百貨店から出店依頼が絶えることはない。例年1~2月は駅弁大会の季節といい、福井さんは「和田山は人口減少で徐々に活気もなくなってきた。大勢の人が訪れる駅弁大会はこの地をPRするチャンスなんです」と出場の意義を語る。

 この1年は新型コロナウイルスの影響で団体ツアー客向けの仕出しがゼロに。百貨店の催しも激減した。「コロナが収束したら、駅弁大会を足掛かりに和田山へ人が戻ってくるよう頑張りたい」。地域の魅力を小さな箱に詰め、全国を飛び回る日を待ちわびている。

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