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法隆寺や京都御所などを手掛けた名工の中井家やその分流の彫刻家一族の物語を執筆した水嶋元さん=豊岡市
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法隆寺や京都御所などを手掛けた名工の中井家やその分流の彫刻家一族の物語を執筆した水嶋元さん=豊岡市

 兵庫県豊岡市の郷土作家水嶋元(はじめ)さん(90)が、京都市の二条城や京都御所などを手掛けた江戸時代の伝説の大工頭、中井正清(1565~1619年)を中心に中井家の物語を描いた歴史小説「日本一の殿さま大工」を出版した。史実を基に職人たちの誇りと精神を書き上げた水嶋さんは「歴史上では城主などが注目されるが、実際に建物を作り上げた職人にスポットライトを当てたかった」と話している。(石川 翠)

 法隆寺の宮大工だった正清が、徳川家康に起用され、二条城や京都御所、江戸城などの建築に携わった経緯を丁寧に紹介。官位と領地も与えられたことから、タイトルは「職人でありながらその才覚で上りつめた敬意を表した」という。

 後半では、同県丹波市柏原地域に拠点を置いた正清の分流とされ、但馬や丹波などの寺社仏閣に多くの作品を残した彫刻師中井権次の一族などに話が移る。

 中井家を小説のテーマにしたのは、自宅近くの隆国寺(豊岡市日高町)に一族の作品が残されていたことがきっかけという。迫力ある精巧な竜の欄干彫刻を目にして、知人から中井一族のことを教わったことから調べ始めた。「中井権次顕彰会」(丹波市)のまとめたマップを基に30カ所以上の神社や寺を巡り、研究資料や専門書などを読み込んだ。

 水嶋さんは神戸大教育学部を卒業後、但馬各地で教壇に立ち、退職後は但馬文学界の同人誌「野火」を主宰。小説ではできるだけ年代を記してきた。「教師の経験から、時代背景を正確に伝えたいとの気持ちが勝ってしまう。そういう意味では本当の小説家にはなれないのかもしれない」と笑顔を見せた。

 四六判、318ページ。1430円。発行は東洋出版TEL03・5261・1004

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