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陸上男子マラソン2位のナゲーエ(右)と3位のアブディは、ソマリアを離れた難民。代表する国は異なるが、祖国を思う絆で結ばれた2人は抱き合って健闘をたたえた=8日、札幌市内(撮影・中西幸大)
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陸上男子マラソン2位のナゲーエ(右)と3位のアブディは、ソマリアを離れた難民。代表する国は異なるが、祖国を思う絆で結ばれた2人は抱き合って健闘をたたえた=8日、札幌市内(撮影・中西幸大)
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■選手の躍動、世界情勢映す

 東京五輪期間中、日本は史上最多27個の金メダルに沸いた。五輪憲章は「個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と規定するが、「国民であること」が出場条件のため、選手たちはおのずと国を背負うことになる。

 サーフィン男子銀メダルの五十嵐カノア(23)は両親が日本人で、米カリフォルニア州生まれ。「日本の旗もカリフォルニアの旗も振る」と二つの故郷への思いを口にした。今大会の日本選手団580人超のうち、出身が海外の選手は少なくとも21人。日本生まれで海外にもルーツを持つ選手を含むと40人ほどになる。

 一方、ゴルフ女子の笹生(さそう)優花(20)は母の出身地であるフィリピン代表の道を選んだ。尼崎市出身のジェイ・リザーランド(25)は「古里での五輪は別格」と活躍を期し、米国代表として競泳男子400メートル個人メドレーで銀メダリストになった。

 日米両方の国籍を有していたテニス女子の大坂なおみ(23)は2019年、日本の法律で定められた「22歳になるまで」のタイミングで、日本国籍選択の手続きをした。国籍取得要件は国によって異なり、日本など自国民から生まれた子に認める「血統主義」、米国など自国で生まれた子に認める「生地主義」などがあるため、両親の国籍や生まれた場所によって重国籍や無国籍が起こる。

 日本で生まれた子のうち、両親のどちらかが外国籍の割合は近年2%程度だが、海外生まれなどは含まれていないため、複数のルーツを持つ人はさらに多い。

 五輪舞台には、国籍や人種に関する世界の情勢も投影されていた。

 陸上男子マラソンでは、内戦下のソマリアから欧州に移った難民選手が、オランダ代表とベルギー代表としてそれぞれ銀、銅のメダルを獲得。前回のリオデジャネイロ大会から難民選手団が結成され、東京大会には11カ国出身の29人が参加した。一方、名誉や金銭を得るために国籍を変えて国際大会に出る流れが加速しており、競技団体によっては国籍変更による出場への規制を強める動きもある。

 立命館大の岡田桂教授(49)=スポーツ社会学=は「身体表現であるスポーツは、社会の実情が現れやすい。五輪を通じ、日本社会の多様化が進んでいることが見える形で示されたことで、日常でも理解が進むきっかけになれば」と話す。

 大会理念の一つ「多様性と調和」。躍動する選手から発せられたメッセージを、しっかり受け止めたい。(金山成美、藤村有希子)

【五輪特集ページ】東京五輪2020

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