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国立競技場近くの歩道で警察官ともみ合うデモ隊=東京都渋谷区
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国立競技場近くの歩道で警察官ともみ合うデモ隊=東京都渋谷区
五輪マークのモニュメント前は開会式前から見物客で埋め尽くされていた=東京都新宿区
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五輪マークのモニュメント前は開会式前から見物客で埋め尽くされていた=東京都新宿区
国立競技場の上空に描かれたドローンの地球儀=東京都新宿区
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国立競技場の上空に描かれたドローンの地球儀=東京都新宿区
開会式終盤で打ち上げられた花火=東京都新宿区
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開会式終盤で打ち上げられた花火=東京都新宿区
東京五輪の取材拠点となったメインプレスセンター=東京都江東区、東京ビッグサイト
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東京五輪の取材拠点となったメインプレスセンター=東京都江東区、東京ビッグサイト

 東京五輪の開会式が行われた7月23日、会場となった国立競技場(東京都新宿区)周辺は混沌としていた。五輪反対を叫ぶデモ隊と警察官がもみ合うそばで、夜空に打ち上がる花火にスマートフォンを向ける人々。あれから2週間。新型コロナウイルスの感染者が急激に増加して外出自粛が求められる一方、五輪で日本はメダルラッシュに沸く。矛盾を抱える東京の街を歩いた。(今福寛子)

 開会式が始まる2時間前の午後6時すぎ。国立競技場西側の歩道は既に人であふれていた。関係者を運ぶバスが前を通ると、沿道から手を振る姿も。競技場を望む五輪マークのモニュメント前は座り込む見物客でいっぱいだった。

 すぐ近くでは、開催中止を求めるデモ隊と警察官が対峙していた。「オリンピックはいらない」「命が大事」。シュプレヒコールを上げるデモ隊に、警察官は押し黙ったまま道をふさぐ。そこに五輪賛成を叫ぶ男性が乱入し、なだめる警察官。異様な空気だった。

 午後8時すぎ、開会式が始まった国立競技場に1回目の花火が打ち上がった。みなが一斉にスマホを向け、拍手が沸き起こる。会社員の女性(42)=東京都港区=は「久々に活気のある東京らしい空気を味わった。花火なんて2年ぶり」と喜んだ。観客がいないので、会場の外はわずかに音が漏れ聞こえる程度。スマホやタブレットで中継を見ながら、打ち上がる花火を撮影していた。

◆雰囲気を感じたい

 大半の会場が無観客となった東京五輪。開会式以外でも一部の競技会場周辺では、五輪の雰囲気を感じようと人が押し寄せていた。

 思わぬ観戦スポットとなったのは、新種目のスケートボードや自転車BMXが行われた有明アーバンスーポーツパーク(江東区)。新交通システムゆりかもめ「有明テニスの森」駅や近くの橋から競技が望める。BMXフリースタイル・パークの予選があった7月末は、駅のホームに多い時で約50人の“観客”がいた。

 ホームからは、自転車が宙に舞う姿を一瞬見ることができる。「おおっー」。その度に小さな歓声が上がる。到着した車両の中では乗客が窓からスマホを向ける。

 「すごいですね。ちょろっとしか見えなかったけどそれでもうれしい」。双眼鏡で熱心に見つめていた男性(46)は、インターネット情報を元に大阪府豊中市から来た。東京も大阪も感染が拡大し「正直怖かった」と打ち明ける。それでも「生きている間に(自国開催の)五輪なんてもうないかも」と1泊2日で会場を見て回るという。

◆「街を見られず残念」

 一部の競技会場で「密」が指摘されているが、それ以外の場所では開幕前と何も変わらないというのが正直な印象だ。

 ゆりかもめ沿線には体操、バレーボール、テニスなど競技会場がひしめくが、車内はガラガラだ。メインプレスセンター(MPC)がある東京ビッグサイト駅近くで、冷たいタオルを配るボランティアをしていた江東区在住の50代女性は、「スーパーでグッズが販売されていることぐらいしか五輪を感じられない」と苦笑い。都市ボランティアとして5日間活動する予定だったが、緊急事態宣言でこの日約1時間の活動に短縮されたという。「お客さんも少ないし、病気には勝てないですね」と寂しそうに笑った。

 MPC前も人はまばらだ。とても206の国、地域、難民選手団が参加する世界最大のイベント拠点とは思えない。「日本の印象を聞かれても会場とMPC、ホテルの往復しかしていないから答えられない」。海外メディアの記者は一様に同じことを口にした。

 米国のボストンから訪れた男性記者は、ビーチバレーを取材。「今まで見てきた大会は多くのファンがいて、ビーチは音楽とダンスにあふれていた。今回はそれがなくて」と残念がった。ただ、コロナ禍での五輪開催は「難しい決断だっただろう」と理解を示し、「選手やファンが楽しんでくれることを祈る。日本人はとても親切。コロナが収束したらきっと戻ってきて、もっと街を見に行きたい」と約束してくれた。

◆メダルの音に偉業実感

 メダリストが誕生した翌朝には、一夜明け会見が行われる。競技会場で取材できる「アクレディテーションカード」を持っていなくても、事前登録すれば参加できるため、メダリストの生の声を聴こうと、時間の許す限り足を運んだ。

 印象深かったのは、メダルの「音」だ。金二つに銀一つを首から提げて登壇した体操男子の橋本大輝選手(順天堂大)が歩くと、メダルが触れ合って「カチャカチャ」と鳴った。複数メダル獲得という偉業を改めて実感させられる音だった。

 コロナ禍で無観客という特殊な状況で開かれている今大会。競技終了後の選手たちは、言葉を尽くして感謝の気持ちを表現した。体操男子の代表選手はボランティアの励ましに勇気付けられたことを明かし、ボクシング女子で初の金メダルを獲得した入江聖奈選手(日体大)は「一般の方には交通規制などで嫌な思いをさせてしまったかもしれない」と気遣った。

 アーチェリー男子で二つの銅メダルに輝いた古川高晴選手(近畿大職員)は、会場を設営したスタッフに思いをはせた。「大会があるのか分からない中で造ってくれた。思いの詰まった会場でプレーできたことに感動した」。5大会連続出場、アーチェリー普及に尽くすベテランらしい言葉だった。

【五輪特集ページ】東京五輪2020

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