
地蔵の前で毎日手を合わせ、土俵で苦しむ孫を案じている。「どこか(体が)悪いのかしら…」。貴景勝の祖母、関井勢津子さん(80)=神戸市西区。綱とりが仕切り直しになろうとも、負けが込もうとも、日課の参拝を続けている。
勢津子さんは貴景勝が関取になった2016年から、自宅近くの「慶明しばり地蔵」に願掛けを始めた。21日間、ひもで地蔵をしばり続ければ願いがかなうと言い伝えられており、本場所前から地蔵に通い、孫の健康と活躍を祈念している。
参拝は雨の日も雪の日も欠かさず、年6場所、年間126日に上る。勢津子さんの献身的な姿に、地蔵を管理する地元の「慶明老人クラブ」のメンバーも貴景勝を応援するメッセージを地蔵に結びつけるようになった。
小学生の頃は祖父と自宅のふすまが破れそうになるほど、激しい相撲を取っていたという貴景勝。祖父は小5の時に亡くなり「大きな体だったから、ひつぎを持っておじいちゃんを送ってくれたんですよ」と、勢津子さんは懐かしむ。
7日目を終えて2勝5敗。綱とりの願いは届かなかったが「1回だめになっても、まだ若いから大丈夫」。祖母は信じて地蔵に向かう。(尾藤央一)
