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野生復帰事業の現状や課題を語る江崎保男・兵庫県立コウノトリの郷公園長=豊岡市祥雲寺
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野生復帰事業の現状や課題を語る江崎保男・兵庫県立コウノトリの郷公園長=豊岡市祥雲寺

 コウノトリの野生復帰事業について語り合う「コウノトリ未来・国際かいぎ」が30、31日に兵庫県豊岡市内で開かれるのを前に、県立コウノトリの郷(さと)公園(同市祥雲寺)の江崎保男園長(69)に、野生復帰の現状や課題を聞いた。(聞き手・阿部江利)

 -復帰事業の現状は。

 「日本の空から姿を消した鳥を人が住む里地に再び戻す『再導入』は、世界的にも類を見ない取り組み。言葉に尽くせない努力が半世紀以上続き、今年8月末時点で、全国の野外で263羽まで増えた。繁殖ペア数は全国で34ペアいる」

 「特に豊岡では18ペアとなり、野生のコウノトリがいた1935年の記録に並ぶまで回復。いったん節目を迎えた。長年の調査研究も実を結び、生態や生息環境も少しずつ明らかになっている。一方で課題も山積している」

 -課題とは。

 「かつて豊岡市内にコウノトリの集団がいたのは事実だが、どこにどれだけ営巣していたのか、はよく分からない。文献などに目撃情報は残っていても、繁殖情報は少ない」

 「繁殖地は全国7府県に広がった。繁殖に向く土地がどんな場所で、今も生息できるのかを歴史的、科学的に改めて丹念に掘り起こし、より具体的な目標設定をすべき時期にきている」

 -今後の展開は。

 「遺伝的な多様性の確保や事故防止など、乗り越えるべき課題は多い。野生動物は人間がつくる各地の自然環境に影響を受ける。より野生に近い姿を取り戻したい」

 「そのため、環境に配慮した農業の取り組みも続く。たくさんの餌が供給できる『環境収容力』を高めるには、コウノトリが餌を採る田んぼにさらに魚が上る状況が望ましい。全ての問題はつながっている」

 -将来像は。

 「取り組みをさらに広げ、コウノトリをシンボルに、流域単位で農業や水産業、林業などが両立するようなモデルを示したい。ぜひ多くの方に会議を聞いてほしい」

■2日にわたり討議や報告会 観覧とライブ配信で

 豊岡市は、コウノトリの野生復帰事業を主題とするシンポジウム「第6回コウノトリ未来・国際かいぎ」の観覧者と、ライブ配信の閲覧者を募集している。30、31日に豊岡市民会館文化ホール(同市立野町)で開催。霊長類学者の山極寿一・京都大学名誉教授による基調講演などがある。

 1994年から数年ごとに開催。昨年は新型コロナウイルス禍で延期になっていた。今回は会場の人数を制限し、ライブ配信もしながら行う。

 初日は、山極さんが「いのちをつなぐ共生社会-ゴリラに学ぶ」と題して基調講演。コウノトリの郷公園やオンライン参加する海外の鳥類研究者らが討議する。生物学者の福岡伸一・青山学院大学教授も登場する。

 2日目は、現代美術家のアキ・イノマタさんが「生きものとともにつくるアート」をテーマに講演。コウノトリが飛来、繁殖する全国の自治体の取り組みに関する報告がある。コウノトリファンクラブ会長の柳生博さんも訪れる。

 観覧は初日午前、午後、2日目の各区分ごとに先着500人。無料。専用フォームで申し込む。ライブ配信の閲覧も申し込みが必要。実行委員会事務局(市コウノトリ共生課内)TEL0796・21・9017

(石川 翠)

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