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「西宮大神宮」と刻まれた石灯籠=西宮市社家町
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「西宮大神宮」と刻まれた石灯籠=西宮市社家町
西宮神社の参道である「えべっさん筋」。歩道上に29基の石灯籠が設置されている=西宮市社家町
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西宮神社の参道である「えべっさん筋」。歩道上に29基の石灯籠が設置されている=西宮市社家町
江戸時代に実際に配られた札(右)と現在の札
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江戸時代に実際に配られた札(右)と現在の札

 福の神「えべっさん」の総本社、西宮神社(兵庫県西宮市社家町)の参道「えべっさん筋」に並ぶ石灯籠に、気になる文字を見つけた。「西宮大神宮」-。「神宮」とは厳密には伊勢神宮(三重県)のみを指し、「-神宮」の社号は天皇や皇族の祖先神を祭る神社に限られているはずだ。いくらニコニコ顔のえびすさまでも「笑いごとで済むの!?」と思ったら、神社のご利益「繁盛」とも縁の深い秘話があった。(村上貴浩)

 石灯籠は西宮神社の東側を南北に走る市道沿いの歩道に計29基が並ぶ。高さは約3メートルと約2メートルの2種類があり、それぞれ柱の真ん中に大きな字で「西宮大神宮」と彫られている。

 兵庫県神社庁によると、神宮は6種類ある神社の称号「社号」の一つで、伊勢神宮の他、「伊弉諾(いざなぎ)神宮」(淡路市)「明治神宮」(東京都)「橿原神宮」(奈良県)など皇室の祖先神を祭る神社に付けられている。

 一方、西宮神社が主に祭るのは商売繁盛の「えびす大神」。西宮神社の権宮司吉井良英さんに聞くと、「石灯籠の『大神宮』は社号でなく、神号なんです」と言う。どういうこと?

    ◇

 さかのぼること江戸前期の1653年、西宮神社の本殿が焼失してしまう。

 2年後、本殿を寄進したのが、当時の4代将軍・徳川家綱。さらに、復興資金集めのために神社に認めたのが、えびす大神の姿を描く「札」の版権だった。

 札は、庶民が家や店に飾って商売繁盛をお祈りする。西宮神社はえびす信仰の札を一手に授与することで、まさに繁盛できるようになったのだ。その時、札に書かれたのが「西宮太神宮」。それは西宮にある「大神宮」ではなく、「えびす大神」を祭る「宮(神社)」を意味するという。

 なぜ「えびす」に「西宮」を当てたかについては諸説あるが、えびす信仰は西宮神社付近に住んだ人形遣いの「傀儡師(くぐつし)」が全国を巡回して広めた。江戸時代には庶民の間で「西宮にあるえべっさんを祭る神社」を略し「西宮」を「えびす」と読むことも多かったという。

 ちなみに「西宮」の地名は、北東約2キロ先にある「広田神社」が「京の西方にある宮(神社)」と呼ばれたのが由来とされ、西宮神社には広田神社に付属した摂社があった。

    ◇

 石灯籠は1966年から、氏子総代だった故・合田芳蔵さんが「もっと神社を立派にしよう」と呼び掛けて造られた。

 市道上には宗教的な構造物は禁止されているが、「神社への参道を知らせる標識」との名目で2基を設置。すると、近隣の店や市場、企業が続々と手を挙げ、店前や道の角など思い思いの場所に増やしていった。

 では、なぜ「西宮神社」と刻まず、わざわざ「西宮大神宮」としたのか。資料は残っていないというが、吉井さんはこう言った。

 「その字の通り『神社に灯籠を献ずる』より『えびす大神に献ずる』という意味を込めたのではないでしょうか」

■ややこしい神号と社号 「神宮」名乗るには承認必要

 「西宮大神宮」のように、神さまを表す「神号」を神社の称号「社号」と混同しそうになる事例は全国で見られる。

 例えば伊勢神宮(三重県)で授与されている札には「天照皇大神宮(てんしょうこうだいじんぐう)」と書かれており、これは「天照大神」がいる「宮(神社)」を意味して、社号の「神宮」とは少し意味が違う。天照大神荒魂(あらみたま)を祭る西宮市の広田神社でも同じ札を使っている。

 社号には「神宮」のほかに、規模の大きい「大社」、最も一般的な「神社」がある。

 明治維新後、政府は社号に加えて全国の神社を格付けし、伊勢神宮を最高位とした上で「官弊社」「国弊社」「県社」などの順に細分化した。広田神社は官弊社となり、この時に西宮神社は「県社」として広田神社から独立することになった。

 戦後は神社の国家管理が廃止されて社格制度はなくなったが、今も神社本庁の傘下にある神社で「神宮」などを公式に名乗る場合には同庁の承認が必要になる。(村上貴浩)

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