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自宅で産後ケアを受けた女性(右)。助産師から生活実態に即した助言を得た=神戸市須磨区
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自宅で産後ケアを受けた女性(右)。助産師から生活実態に即した助言を得た=神戸市須磨区
神戸新聞NEXT
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 出産後の母親に対する授乳指導や育児相談などで心身をサポートする「産後ケア事業」。新型コロナウイルス禍で外出自粛生活が続く中、病院や助産所などでの「短期宿泊型」「通所型」に加え、ケア担当の助産師らが母子の家に赴く「自宅訪問型」が注目されている。(佐藤健介)

 「コロナで引きこもっていたので…。分からないことや気付かなかったことを教えてもらえて助かります」。7月に長男を出産した神戸市須磨区の女性(35)は、8月末に自宅を訪れて相談に乗ってくれた助産師に感謝を伝えた。緊急事態宣言で出掛ける機会がほとんどなくなり、不安を感じていた。

 女性が利用したのは民間施設「助産所ポスチャー」(同市長田区)による訪問型産後ケア。担当助産師はマスクを着け、念入りに手指を洗った後、リビングへ。ソファに腰掛けて授乳する女性に、スムーズに母乳が出る抱っこの角度を教えた。「普段過ごす自宅でアドバイスできることに意味がある」と助産師。

 兵庫県明石市は昨年7月、訪問型について初回無料の「おためし券」を交付した。利用者からの要望を受け、対象を「生後5カ月未満」から「1年未満」に拡大。助産師、保健師、保育士だけでなく、栄養士や心理士など専門職の訪問もできるようにした。

 利用者にアンケートしたところ、「乳腺炎になったが、コロナ禍で病院に行くにも抵抗があり、助産師が来てマッサージをしてくれて助かった」「出産した病院ではみんなマスクをしていて話しづらかった。訪問してもらって相談でき安心した」など評価する意見が寄せられた。担当者は「状況によっては当日に訪問するなど柔軟な対応を取っている」と説明する。

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 「産後うつ」のリスクなどを背景に、産後ケア事業は今春から市区町村の努力義務となった。助産師や保健師らが母親の体調やメンタルをケア。授乳やおむつ交換の方法なども指導する。

 産後ケアには三つの形態がある。うち短期宿泊型は費用が1日数万円かかるケースもある。また、短期宿泊型と通所型は医療機関を利用する場合は空きベッドが必要。何よりコロナ禍で外出を控える母子が増えているとみられ、訪問型利用に期待がかかる。

 神戸市は宿泊型や通所型を比較的早く導入したが、訪問型は制度化されていなかった。そのため、兵庫県助産師会は昨年7月、神戸市に制度化を要望。同市は本年度中にも訪問型を制度化する予定という。同会は「神戸での本格実施は県内の他の自治体にも影響が大きい」とする。

 コロナ禍で交流機会が失われ、育児に関する情報交換が十分にできないなど、母親にとって厳しい状況にある。同会の国広晴美会長(57)は「訪問型なら母親が安心して助産師から助言を受けられる」と産後ケアの広がりに期待する。

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■産科・精神科の連携が鍵

 コロナ禍を背景に注目される訪問型産後ケア。専門家は実効性を高める鍵について産科・精神科医療の連携を挙げる。

 日本周産期メンタルヘルス学会は昨年7月、会員の助産師、産婦人科医、精神科医、助産師、心理士、看護師らに対し、コロナ禍における妊産婦の心理状態について調査。回答した6割以上が、最初に感染が拡大した昨年3~6月、妊産婦からコロナに関する心の不調を相談されていた。

 「感染が不安で外出や受診ができない」「不安で落ち着かない」「気分が憂うつになった」といった相談が目立ち、最も多かったのが「本来のサポートを受けられない」。具体的には、里帰り出産による親の援助や産後ケアを含む母子保健事業などだった。

 兵庫県産科婦人科学会会長で、パルモア病院(神戸市中央区)の山崎峰夫院長は「母子の生活状態に則した支援ができる訪問型の浸透は有意義」と評価。一方で「うつ兆候の察知など、時には精神科医療の介入が必要な場合もある。出産施設の産科医と精神科医が緊密に連携する体制づくりが訪問型推進に向けて重要だ」と指摘する。

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