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シンポに登壇した(右から)大谷紫乃、岩崎正裕、藤野一夫、竹山清明の4氏=神戸市中央区、市男女共同参画センター
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シンポに登壇した(右から)大谷紫乃、岩崎正裕、藤野一夫、竹山清明の4氏=神戸市中央区、市男女共同参画センター

 神戸市が音楽専用ホールの新設を中止し、兵庫県伊丹市が演劇ホールの用途転換を視野に入れるなど、公共ホールの行方に危機感が広がっている。8月には市民団体「神戸をほんまの文化都市にする会」が緊急シンポジウムを開催。藤野一夫・芸術文化観光専門職大副学長(文化政策)は「文化やホールを育む展望が見えなくなっている」と文化行政の現状を憂慮する。(田中真治)

 神戸市は1973年開館の神戸文化ホールについて、三宮再整備の核となる駅前の新ビルへ移転を計画。大ホール(約1800席)と中ホール(約700席)を設ける案を策定した。音楽専用ホールも市役所2号館新庁舎に設置予定だったが、コロナ禍による財政見直しで中止を発表。中ホールを舞台芸術中心から音楽を含めた仕様に変更し、中ホールに確保していた区民ホール機能は、大ホールに多目的スペースを併設して移すとした。

 シンポで藤野副学長は、新ホールの整備基本計画検討委員会で委員を務めた立場から、当初案に至った経緯を説明。室内管弦楽団と混声合唱団を擁する神戸市にとって「音楽ホールは都市文化政策として戦略的に必要」で、市民の文化活動を支えるホールと分けるべきと指摘し、明確な理念や責任体制の構築を訴えた。

 神戸演劇鑑賞会の大谷紫乃事務局長も「舞台芸術と音楽では求めるホール像が違う」と強調し、検討委での議論から一転しての変更に「危機感をおぼえる」。建築家の竹山清明・元京都橘大教授は音響設計などの注意点を挙げるとともに、新長田駅南地区の再開発ビル地階を小ホールに活用する案を提示した。

 伊丹市では88年オープンのアイホール(最大300席)を巡り、維持運営の財政負担や市民利用率の低さから、劇場以外への用途転換案が浮上。これに対し、劇作家の岩崎正裕・同ホールディレクターは、小劇場演劇界での高い認知度や誘客の経済効果、教育現場での活動などが評価されていないことを疑問視し、「失われた施設は二度と戻ってこない」と存続を呼び掛けた。

    ◇

 ホールに関わる人々を置き去りに計画が進むことを懸念する一方、市民と課題を共有する意識が高まりつつある。

 演劇関係者らでつくる「アイホールの存続を望む会」などが8月に開いた活動報告会。劇作家の小原延之・同会代表は、公演以外に地域との接点がほとんどなかったこれまでの在り方を反省。「劇場は閉じた空間を作るが故に、開かれなくてはいけない」と述べた。

 参加した市民からも「いろんな活動をしていることを初めて知った」との声が上がり、署名活動や勉強会など連携の輪が拡大。市長には地域活性化に向けた活用のため、継続した議論の場を強く求めた。

 藤野副学長は「芸術文化は多様な見方を示し、市民の自己決定力を養う文化政策は重要」とし、公共ホールという環境の意義を訴える。

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