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パパ友の影響で釣りや自転車を始めた男性。子どもとも一緒に楽しみ、家族関係が良くなった=神戸市北区
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パパ友の影響で釣りや自転車を始めた男性。子どもとも一緒に楽しみ、家族関係が良くなった=神戸市北区
神戸新聞NEXT
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 男性版産休「出生時育児休業」といった新たな仕組みを盛り込んだ改正育児・介護休業法などが6月に成立した。父親の育児参加を推し進める機運が盛り上がる一方、子育てに悩み、うつ症状に陥る父親もいる。母親の産後うつやマタニティーブルーにはさまざまなサポートが展開されているのに対し、父親への支援は不十分との指摘もあり、対策が求められる。(佐藤健介)

 神戸市北区の男性(41)は、2012年に妻が双子を出産。積極的に育児や家事に取り組む中、体の異変に悩まされるようになった。会社への出勤途中で動悸(どうき)を感じ、職場では突然の腹痛で何度もトイレに駆け込んだ。

 仕事を終えて未明に帰宅。血圧の乱高下や帝王切開の傷の痛みなどに苦しむ妻を気遣い、夜中の授乳を担い、朝から家事をこなした。睡眠時間が削られる中、責任感の強さから休日出勤もしばしば。そうした生活に心と体が悲鳴を上げた。

 次第に仕事への意欲が減退。心療内科でうつ病と診断された。生真面目で抱え込んでしまう性格。「パートナーである妻に『しんどい』と弱音を吐くことができたら、状況は違っていたかもしれない」と男性。体の異変とともに、仕事でも本来の能力を発揮することができず、休職を決断した。

 転機は数年前、インターネットなどで偶然知った父親グループに参加したこと。“パパ友”から釣りやサイクリングに誘われ、心から楽しめた。うつ症状も次第に改善していった。「家でも職場でもない第三の居場所が大切だと感じた」。元の勤め先は休職後に退社。現在はコンサル会社で代表を務める。

 国立成育医療研究センターの調査によると、妻の出産から3カ月までにうつ傾向を示す父親は16・7%に上る。女性の産後うつはホルモンバランスの急激な変化や育児の疲労などで発症するが、男性の場合、父親になる責任感や家計を支えなければならないプレッシャーなどから心身の不調を来すことが多いという。

 寝付きが悪くなる、感情の起伏が激しくなるといった症状は「パタニティーブルー」「イクメンブルー」と呼ばれるが、一般にはあまり知られていない。

 政府は、7・48%(19年度)と低迷する男性の育休取得率を25年に30%まで引き上げる目標を掲げる。改正法の目玉である男性版産休は、生後8週間以内に計4週分の休みを取れるもので、来年10月の導入開始を想定している。

 母親の産後うつについては研究が進み、心身をサポートする「産後ケア事業」は今春から自治体の努力義務となった。男性に対しては育休取得を促す一方、そうした支援は乏しいのが現状だ。

 父親の子育てを推進するNPO法人「ファザーリング・ジャパン関西」メンバーの阿川勇太・兵庫医療大助教(家族看護学)は「父親が育児や家事を頑張っても、母親がしてほしいことと食い違うことがよくある。それが父親の悩みを深め、うつのリスク要因の一つとなっている。妊娠期から夫婦で子育てに関する希望や家事の分担を話し合い、心のしんどさを受容し合うパートナーシップを高めておくことが大切だ」と強調する。

■「働き方改革」が急務

 父親の子育て参加を推進する一方、心身の不調を防ぐには「働き方改革」が欠かせない。厚生労働省は医療分野と連携した父親のメンタルヘルスの研究に乗り出した。

 厚労省の委託で三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2017年度に実施した調査によると、3歳未満の子どもがいる20~40代の男性社員の約3割が「育休を利用したかったができなかった」といい、その理由として「職場の人手不足」「会社の制度が未整備」「育休を取りづらい職場の雰囲気」が上位を占めた。

 国立成育医療研究センターの研究チームは20年8月、産後1年間で夫婦ともメンタルヘルスに悩んでいるとされるケースが年約3万件に上るとの推計を公表した。父親の長時間労働もその背景にあるとし、「夫婦ともに心の不調を来すと、子どもの養育環境も著しく悪化する。産後は母子に加え、父親への支援も重要だ」と指摘。厚労省は同チームのメンバーらを含む研究班を立ち上げ、対策を検討している。

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