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アピアランスケアの専門サロンをオープンした明石春枝さん(左)と、次女の真理子さん=神戸市中央区下山手通3
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アピアランスケアの専門サロンをオープンした明石春枝さん(左)と、次女の真理子さん=神戸市中央区下山手通3
Jinaサロンで取り扱う専用下着や、メークレッスンで使用する化粧品=神戸市中央区下山手通3
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Jinaサロンで取り扱う専用下着や、メークレッスンで使用する化粧品=神戸市中央区下山手通3

 がん治療で外見が変わった人たちの悩みを解決する「アピアランスケア」の専門サロンが、兵庫県内に登場している。抗がん剤による脱毛や肌の黒ずみのほか、外科的治療で体の一部を失った女性らに、メーキャップの助言や医療用ウイッグ(かつら)、補整下着などを提供する。専門商品を扱う実店舗がほとんどなく、悩みを知人に打ち明けにくいなどの課題がある中、試着や相談などをトータルでサポートする。(中務庸子)

 「知り合いに見られることはないので、安心してゆっくり過ごしてもらえるはず」。神戸・三宮に5月、専門サロン「Jina(ジナ)サロン」を開設した明石春枝さん(65)は笑顔で話す。

 白を基調にしたサロンは落ち着いた雰囲気。60平方メートルの店内に、カウンセリングスペースや鏡台などを備える。ウイッグの長さや色の調整▽定期的な手入れ▽乳房を切除した乳がん患者向け補整下着の販売▽顔色をよく見せるメークの助言-などを行う。

 明石さんは2006年に会社を設立し、人毛100%の手植えウイッグを中国メーカーに委託生産する。顧客の好みを熟知した行きつけの美容院で調整できるようにと、18年からは全国の美容院に販売を始めた。

 ところが、医療用は「近所の美容室では、知り合いに見られるかも」「知人に病気を知られるのは苦痛」との声が多く、完全予約制の専門サロンの必要性を痛感。開設に踏み切った。

 明石さんは「肌や爪、胸など、悩みは髪だけではないことも知った。心を元気にすることが治療のサポートになれば」と話す。

 専門サロンは県立西宮病院(西宮市)内にもある。地下1階で院内理容室を営む小谷和也さん(48)が15年から、店内で医療用ウイッグの取り扱いを始めた。

 専門メーカーから仕入れた10種類を試着できるとあって、今では県内外から客が訪れ、月に15~20個を販売。専用の育毛剤やマニキュアなども取り扱い、4月からは別の場所で専用下着の販売も手がける。

 小谷さんによると、アピアランスケアの関連商品を扱う実店舗は少なく、患者らはインターネットで購入するのが一般的という。

 小谷さんは「ウイッグは最低でも数万円。安い買い物ではないだけに、試着して比べられるのを喜んでもらえている」という。専門サロンは全国的にも珍しいといい、「兵庫がアピアランスケアの聖地になればうれしい」と話している。

■兵庫県内の自治体、商品購入

 アピアランスケアは「外見」と「手当て」を意味する英語。がん治療の進歩で社会復帰を果たす患者が増え、見た目の変化による苦痛を軽減して生活の質(QOL)の向上を支えるニーズが高まっている。

 関係者によると、アピアランスケアは2013年、国立がん研究センター中央病院(東京)に設けられた支援拠点を契機に普及した。近年は自治体が商品購入の補助制度を導入。兵庫県は21年度から、ウイッグや乳房補正具の購入費の一部を、神戸や明石などの市町と共同で負担し、県立がんセンター(明石市)にも支援センターが設けられた。

 また一般社団法人アピアランスケア協会(大阪府)は19年から、独自資格「アピアランスケアセラピスト」の養成講座を始めた。メーキャップや頭皮マッサージ、カウンセリングなどを3カ月~半年で教え、学科・実技試験の合格者に資格を与える。今年7月には発毛ケアやウイッグの保守などを担う専門理美容師の養成にも乗りだす。

 同協会の熊野安芸子専務理事(51)は、自身もがん治療の経験を持つ。医師から脱毛などの副作用を通告されたが、「特定の業者を推奨できない」として、アピアランスケアに関する商品やサービスの詳細は教えてもらえなかったという。

 熊野さんは「病巣を取り除いても(外見の変化で)心を病んでしまう人は多い」と強調。塩井真弓美(まゆみ)代表理事(45)は「2人に1人ががんになる時代。アピアランスケアが当たり前になるよう、担い手を増やしたい」と話す。(中務庸子、大久保斉)

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