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「姫山原始林」と呼ばれてきた姫路城天守周辺の樹林。今では外来種も目立つ=姫路市山野井町から
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「姫山原始林」と呼ばれてきた姫路城天守周辺の樹林。今では外来種も目立つ=姫路市山野井町から
「姫山原始林」と呼ばれてきた姫路城天守周辺の樹林。今では外来種も目立つ=姫路市山野井町から
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「姫山原始林」と呼ばれてきた姫路城天守周辺の樹林。今では外来種も目立つ=姫路市山野井町から
姫山原始林で数多く確認された外来種のシュロ。まるで南方のジャングルのよう。後方に大天守がある=2010年4月、姫路市本町
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姫山原始林で数多く確認された外来種のシュロ。まるで南方のジャングルのよう。後方に大天守がある=2010年4月、姫路市本町
兵庫県立大・服部保名誉教授
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兵庫県立大・服部保名誉教授

 世界文化遺産・国宝姫路城(兵庫県姫路市本町)の天守周辺に広がる「姫山原始林(原生林)」は、厳密には原生林と認められないことが姫路市への取材で分かった。専門家による植生調査の結果、原始林には兵庫県の外来生物リスト(ブラックリスト)に掲載される樹木が多く存在する一方、土地本来の植生が確認されなかったという。市は今後、公的な資料での呼称を「姫山樹林」と改める方針だ。(井沢泰斗)

 姫山原始林とされてきたのは、天守閣北側や西側の内堀沿いに広がる約1・8ヘクタールの樹林。市によると、大正-昭和期の調査で「原始林」という言葉が使われて以降、現在までその名が残ってきたという。市民には「原生林」の呼び名で定着している。

 普段は立ち入りが禁止され、長く人の手が入ってこなかったため、一般的には築城された江戸初期からの植生や生態系をとどめると考えられていた。絵図や文献から、江戸後期にはクロマツ林が中心だったと推測されている。

 しかし、ヤシ科のシュロなど戦前にはほとんどなかった外来種や高木がいつしか目立ち始め、石垣への根の侵入や倒木も起きたことから、市は2011~12年、専門家による大掛かりな調査を実施した。

 その結果、生物多様性に影響を与えるとして「ブラックリスト」に挙げられるトウネズミモチなどの拡大も判明。クロマツなどの姿もなく、「姫路城の本質的価値と一体となった価値を構成する、江戸後期に存在した樹木は認められない」と結論付けられた。

 市は姫路城跡の保存、活用に向けた計画を10年ごとに定めており、次期計画は21年度から始まる。「姫山原始林」や「原生林」の名は地元になじみが深く、公的な資料でも多く使われてきたが、実態との乖離(かいり)は大きく、次期計画に合わせて呼称の変更を決断した。

 素案には、生態系や景観、城の構造物に悪影響を与える樹木を伐採するなどの対策も盛り込む。市姫路城総合管理室は植生管理の進め方について「いきなり伐採するのではなく、市民らに丁寧に経緯を説明しながら取り組んでいきたい」としている。

     ◇     ◇

■文化的・歴史的価値は残る 兵庫県立大・服部保名誉教授

 姫路市が2011~12年に実施した姫山原始林の調査で、植生の管理計画策定にも携わった兵庫県立大の服部保名誉教授(植物生態学)に呼称変更についての考えなどを聞いた。

 -そもそも原始林(原生林)の定義とは。

 「伐採など人の手が全く入っていない林を指し、基本的にはシイの木など照葉樹が多い。近隣では書写山(姫路市書写)の一部や太山寺(神戸市西区)などがあり、全国的には伊勢神宮(三重県)や春日大社(奈良市)が有名だ」

 -姫山原始林は。

 「天守周辺は人の手が入らないため樹木が太くなり、いかにも原生林のように見える。しかし、専門家が植生を確認すれば一目で原生林でないと分かるだろう。かつて植えられたクロマツ林が枯れた後に鳥が種子を運び、現在の植生に変わっていったと考えられる」

 -今まで「原始林」と呼ばれてきた。

 「市民に長く親しまれてきた点では大切にしないといけない。だが、誤解を招く呼び方はまずいので、呼称を変えることには賛成だ。『姫山樹林』でも、文化的・歴史的価値は残ると思う」

 -植生管理の重要性は。

 「天守周辺は急傾斜地で、土壌を保全しないと崩れる恐れがある。また樹木が大きくなりすぎて倒木の危険性も高い。悪質な外来種の駆除や、大木の伐採を早急に進めていく必要がある」

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