瀬戸内に春を告げるイカナゴのシンコ(稚魚)漁が6日、大阪湾と播磨灘で解禁された。5年連続の不漁予報の中、水揚げゼロの港があった昨年よりやや復調。漁業者らは「少しは漁ができそう」と胸をなで下ろした。浜値は例年の数倍の高値を付けた。
漁業者らは、日の出とともに海に網を投入。漁は2隻の船が潮流に逆らって網を張り、もう1隻が港に運ぶ3隻1組で進めた。
播磨灘に面する明石市林の林崎漁港には午前8時前から船が姿を見せた。仲買人らは体長約5センチのシンコを手に取り品定め。初値は1籠(25キロ)9万5千円と同漁港で過去最高となり、その後も5万円前後での取り引きが続いた。
同漁港では昨年、初日の水揚げがゼロだっただけに林崎漁業協同組合の久留嶋継光指導課長(31)は「少ないが、取れてひと安心。漁が続けば値段も下がるだろう」と話した。
大阪湾側の神戸市垂水区の垂水漁港では同市漁協の22組が出漁し、昨年の解禁日の2倍を超す13トン余りを水揚げ。沖から戻った福田雄一さん(39)は「昨年よりも取れてほっとしたが、まだまだ魚は少ないな」と話した。
シンコ漁は2017年以降、極端な不漁が続き、1万トン以上あった漁獲量は昨年、147トン(速報値)と過去最少。1カ月余りあった漁期も、昨年は休漁日を除くと大阪湾で2日間、播磨灘で5日間といずれも過去最短だった。シンコ漁は日曜が休みのため、次は8日に行われる。(山路 進、長尾亮太、谷川直生)
