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東日本大震災当時、被災地における女性や子どもの暴力の実態を調査し、報告書にまとめたNPO「ウィメンズネット・こうべ」代表理事の正井礼子さん=兵庫県内
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東日本大震災当時、被災地における女性や子どもの暴力の実態を調査し、報告書にまとめたNPO「ウィメンズネット・こうべ」代表理事の正井礼子さん=兵庫県内
東日本大震災における性被害の実態を映し出す調査報告書の一文
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東日本大震災における性被害の実態を映し出す調査報告書の一文

 東日本大震災の発生から10年を前に、教訓の継承が重視される中、震災後の避難所などで女性が性暴力被害に遭った実態を調査した神戸市のNPO法人「ウィメンズネット・こうべ」代表理事の正井礼子さん(71)らが、防災活動などに女性の視点を取り入れることの重要性を改めて訴えている。正井さんらは阪神・淡路大震災時も同様の被害があったことから東日本での状況を調べ、性的な暴行や嫌がらせの被害を把握。根本に「日常的な男尊女卑の根強さ」があるといい、ジェンダー(社会・文化的性差)による差別の撤廃を望む。(金 旻革)

 ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者支援に取り組んでいた正井さんが被災地の性暴力を知ったのは、阪神・淡路から1年後の1996年。乳飲み子を抱えたシングルマザーの女性から仮設住宅で遭った被害について聞いた。

 加害者は普段から買い物を手伝ってくれた男性だった。ある時、食事に誘われて性的行為を迫られた体験を女性は「悔しかった」と振り返った。警察に伝えたかを問うと、女性は「そこでしか生きていけないときに、誰にそれを語れというんですか」と涙を流した。

 正井さんは性暴力の反対集会やデモに励み、東日本の発生後、「同じ被害を繰り返してはいけない」と決意。世話人を務める「東日本大震災女性支援ネットワーク」で2011~12年、避難所や仮設住宅に出入りしていた相談員らの協力を得て被害者本人や相談を受けた支援者らにアンケートし、実態を調べた。

 その結果、10歳未満から60代までの82人が暴力被害を受け、うち29人が性的暴行やわいせつ行為、性的嫌がらせなどの性被害を受けたことが判明した。

 同ネットワークは報告書をまとめ、被害者のプライバシーに配慮しつつ具体事例を列挙。震災で夫を亡くし、娘と避難所に身を寄せた女性は避難所のリーダーから性行為を強要され、「嫌ならここにいられなくなる」と告げられた。複数の男性から性的な暴行を受けた別の女性は「誰にも言えなかった」と打ち明けた。

 調査に協力した仙台市のDV被害者支援団体「ハーティ仙台」の八幡悦子代表理事は「日常にある根強い男尊女卑が災害時に強く顕在化する」と指摘。「性被害の問題は当事者が訴えにくい。なかったことにされないためにも、調査は意味がある」と強調する。

 東日本以降、国が災害時の避難所で女性専用のスペースやトイレを確保することを促すなど、女性の視点を取り入れる流れは少しずつ進みつつある。一方で、正井さんは「例えば避難所の運営責任者はまだまだ男性ばかり」と指摘。「女性の目線を平時からの防災で取り入れることが、当たり前の社会にならなければいけない」と求めている。

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