新型コロナウイルス感染対策について、理化学研究所(理研)などは4日、神戸・ポートアイランドのスーパーコンピューター「富岳」を使い、マスクの予防効果などの研究結果を発表した。マスクを二重にすることは、不織布マスク1枚をなるべく隙間なく着けた場合と変わらないことが分かった。
理研計算科学研究センターのチームリーダー、坪倉誠・神戸大教授らが取り組んだ。報告は5回目。
研究によると、不織布は性能が高い分、通気性が悪いが、布やウレタンは性能は下がるが通気性は良いという。不織布マスクはワイヤを鼻の形状に沿って折り曲げた場合、飛沫を捕集する割合は85%で、ワイヤを折り曲げなかった場合は69%に下がるという。
不織布マスクの上にウレタンマスクを重ねて着けた場合、捕集の割合は89%に上昇。だが、不織布マスクを正しく着けた場合に比べ4%しか変わらなかった。捕集の割合が9割を超えると、息苦しくて装着の維持が難しいとみられる。
坪倉教授は「マスクを二重にしても性能が2倍に向上するわけではない。不織布マスク1枚で、できるだけ隙間なく装着することが大事」と述べた。
また、一般的に2メートル以上とされるソーシャルディスタンス(社会的距離)について、人が話すと静止時より歩行時に、後方に引きずるように飛沫が飛ぶことも判明。ジョギングなどで速度が速くなるほど、飛沫の領域が大きくなるという。
同教授は「駅や地下道を歩くときなどは油断してしまうが、真後ろが危険。静止時の倍程度、距離を空けておけばリスクはかなり下がる」とした。
飲食時の会話は、マウスシールドを着けると前方への飛散を一定程度抑えられることも分かった。店内やバス、救急車におけるエアコンや換気扇の使用、窓の開放が有効であることも示した。(井川朋宏)
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