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神山川の桜で作られたそろばんを手に持つ木村祐子さん(中央)とそろばん教室の児童ら=宮城県気仙沼市本吉町窪
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神山川の桜で作られたそろばんを手に持つ木村祐子さん(中央)とそろばん教室の児童ら=宮城県気仙沼市本吉町窪
切り倒される前の桜並木。市民の憩いの場だった=2017年4月、宮城県気仙沼市の神山川沿い(同市の写真愛好家、菅原圭子さん提供)
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切り倒される前の桜並木。市民の憩いの場だった=2017年4月、宮城県気仙沼市の神山川沿い(同市の写真愛好家、菅原圭子さん提供)
神戸新聞NEXT
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 東日本大震災から10年を前に、兵庫県小野市垂井町のそろばん製造卸売業「ダイイチ」が、宮城県気仙沼市で被災した桜の木を使ってそろばんを製作し、被災地に贈った。同市内の川沿いにあった桜並木58本の一部で、10年前の津波に耐えたが、堤防工事に伴い半数以上が伐採された。同社に再利用を提案したそろばん教室講師木村祐子さん(58)=同市=は「思いの詰まった桜が帰ってきてくれた」と感慨深げだ。(杉山雅崇)

 震災で同市は最大20メートルの津波に襲われた。桜並木は気仙沼湾から約2・3キロ離れた神山川の土手にあり、濁流は川を遡上(そじょう)して押し寄せたが、流出は免れた。40~50年前に地元住民が植えた桜は塩害にも負けず、その後も花を咲かせ続け、毎年4月中旬ごろに近隣住民たちを楽しませた。

 震災から5年後、復興事業に伴う堤防の整備計画が浮上。当初は全ての桜が伐採される予定だったが、住民の反対運動もあり、19本(うち2本は移植)を残すことになった。2017年末に切られた39本の一部は無償で住民に提供された。

 木村さんのそろばん教室も津波被害で川の上流地域に移転したが、震災前まで神山川沿いにあった。春になると、教室から桜が見え、自宅から教室に通うのも、土手沿いの道だった。

 「せっかく津波を生き残った桜なのに。このまま捨てられるのは…」。思案した木村さんは木材の提供に応募するとともに、会員制交流サイト(SNS)に「桜でそろばんができないかな」と書き込んだ。

 木村さんが以前、そろばんを発注していたことから、SNS上で親交のあったダイイチの宮永英孝社長(69)。その書き込みを見て、すぐに製作を決意した。

 18年、木村さんから木材が届いた。2年近く乾燥させた後、製作を開始。柔らかい材質の桜は本来、そろばん製作には向かない。宮永さんはそれでも職人たちを説得。慎重に玉削りなどを進め、今年1月までに24丁を完成させた。

 「阪神・淡路大震災が起きた兵庫県民として、なんとしても力になりたかった。桜が生きていた証しを作ることができ、うれしい」と宮永さん。4丁を受け取った木村さんも「そろばんには桜を見てきた私たちの思いがこもっている」と笑みを浮かべた。

 問い合わせはダイイチTEL0794・62・6641

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