神戸市は2021年度、経済的な理由で学習塾に通えない中学生が放課後に無料で学べる「寺子屋」の開設支援に乗り出す。補助金を出して地域住民による運営を支え、講師には大学生のボランティアを募る。市内3カ所で試行し、全市域への拡大を目指す。また、子ども食堂や学童保育の拡充、自習スペースの確保にも取り組み、校外での学習支援や居場所づくりに本腰を入れる。(初鹿野俊)
■今秋3校区で先行実施
塾代を助成する自治体はあるが、同市によると、学校以外で独自に無償の教育機会を提供するのは前例がないという。新型コロナウイルス禍で広がった経済格差に対応する側面もある。
公募に手を挙げた住民や団体に運営事業者をつくってもらい、市が補助金を出す。場所は駅近くのビルの一室や空き家などを想定し、週1回、放課後に宿題や授業の予習、復習をサポートする。
学習意欲を高めるため、協賛する大手企業の社員らを招いて夢や目標、勉強する意味などを語ってもらう企画も検討している。
今年秋から三つの中学校区で先行実施し、他校区への拡大も視野に入れる。市は「家庭の事情にとらわれず、子どもたちが目標を持って勉強に励む機会を提供したい」とする。
また、同市は21年度から、小中学生に夕食や自習の場を提供する子ども食堂への補助金支給要件を緩和。163小学校区のうち、子ども食堂があるのは半数以下だが、2、3年で全校区への展開を見込む。
一方、公設の学童保育約200カ所に、児童の宿題の見守りに当たる要員を22年度までに順次配置。運営者に交付する委託料に人件費を上乗せする。
また、各区文化センターの空き室など10カ所程度を市が確保し、平日の放課後や夏、冬休みの中高生に自習スペースとして使ってもらう。図書館の自習室は予備校生や一般利用者で埋まりやすいためという。
いずれも市は21年度当初予算案に関連費用を計上する方針。
