兵庫県は22日、新型コロナウイルスの感染拡大で、入院先がすぐに見つからない「自宅待機者」が急増していることを受け、看護師を患者の自宅に派遣するなど新たな対策を発表した。県は「自宅療養ゼロ」を目標に掲げているが、感染者の増加で実態は大きく乖離しており、入院病床の確保に向けた対応も強化する。
県によると、感染が分かった後も病院や宿泊療養施設に入れない「入院・療養調整中」の患者は22日時点で760人に上る。現在は保健師が毎日、電話で体調を確認しているが、急変を見逃さないため看護師を派遣する。
75歳以上や1人暮らしのほか、37・5度以上の発熱が2日以上続いたり、糖尿病などの基礎疾患があったりする場合は毎日訪問。息苦しさや倦怠感などが時々ある場合も原則2日に1回訪れる。当面は県職員が担うが、2月1日からは県内の看護系大学を通じて募集した看護職が行う。また全ての自宅待機者に、健康観察アプリを使って1日2回、体温や頭痛の有無などをスマートフォンで入力してもらい保健師が確認する。
県内の病床使用率は8割近くに達する。入院病床を確保するため、西宮市内の宿泊療養施設に当面は毎日、医療チームを派遣。医療ケアの必要がある患者も受け入れられるようにする。
県の対策本部会議後に会見した井戸敏三知事は「目が届かないことで、自宅待機者が重症化しては困る。目詰まりが解消すれば、病院や宿泊療養施設へ入ってもらう」と述べ、自宅療養ゼロの方針は続けるとした。神戸市は既に方針を転換し、無症状や軽症者は一定の条件を設けて自宅での療養に切り替えている。
一方、県は1月25日に庁内にワクチン対策課を設置すると正式発表した。県内で16万人を見込む医療従事者への優先接種や市町との調整などの関連事務を担う。(紺野大樹)
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