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新年度が始まったころの関西学院大。その後も長期間、オンライン授業が中心だった=4月6日、西宮市上ケ原一番町1
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新年度が始まったころの関西学院大。その後も長期間、オンライン授業が中心だった=4月6日、西宮市上ケ原一番町1

 9月中旬、兵庫県播磨地域の女性(48)の元に、娘が通う大学から後期の学費納付書が届いた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で、前期はオンライン授業が大半。後期は対面授業が増えたが、大学で勉強する時間は通常より少ない。「なぜ学費は減額されないのか」と女性。確かに、授業料はともかく、「施設利用料」も例年通りというのはどういうことか。大学側の事情を取材した。(上杉順子)

 神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に声を寄せた女性の娘が通うのは、甲南女子大学(神戸市東灘区)。納付書には「(学費は)対面授業や施設使用の有無だけではなく、教育活動の充実にかかる総合的な経費」との説明があった。

 女性は「大学の言い分もよく分かる。でも、保護者も学生も収入が減ってしんどい思いをしている。施設使用料を減らすなど、少しだけでも痛みを共有してもらえたらと思うのは甘えでしょうか」と話す。

 同大学に取材した。広報担当者は「人件費や施設の維持管理費が例年通りであることに加え、コロナ対応で例年にない経費が発生している」と説明する。

 「例年にない経費」とは、オンライン授業の通信設備などを整える支援金として全学生約4千人に5万円を一律支給▽同じ理由でネットワークを増強▽大学前バス停への大型空調機器設置など感染防止対策費用-などを指す。

 同大学は一律5万円支給以外にも、例年10人程度の「特別奨学金」枠を200人に拡充するなど経済支援策を打ち出している。「学びと学生の命を守るため、ご理解をいただきたい」としている。

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 学費への不満は、コロナ禍で大学キャンパスへの立ち入りが制限された4月以降、くすぶり続けている。

 関西学院大(西宮市)の冨田宏治副学長は12日の会見で「学費返還を求める声があることは承知している」と認めた上で「本当に困っている学生をとことん支援した」と、学費による奨学金充実を強調した。

 同大の奨学金は創立以来、相互扶助の精神から、(寄付金などを財源とする)基金ではなく学費から捻出する。オンライン対応のためのパソコンやモバイルルーターの無償貸与も含め、総額10億円規模の経済支援策を打ち出したという。

 「施設使用料を払うのは納得できない」との声には、冨田副学長は「理解を得るのは難しいが、今勉強できるのは先輩が負担してくれた施設充実費のおかげだし、今払うのは次の世代のため。コロナで(施設が)利用できないからといって返す性質のものではない」と話した。

 日本私立大学連盟も9月に出した見解で、授業料などについて「学位授与を見据え、その準備を含めた総合的な教育環境を提供するための経費」と説明する。

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 こうした事情に、声を寄せた女性は「納付書の説明ではよくわからなかったけど、コロナ対策でずいぶんお金がかかったんですね」とある程度納得した様子。一方で「施設費も未来のために払うというのは年金と似た仕組みだけど、親からすれば、やはりわが子のために払っている。なかなかすっきりした気持ちにはなれません」と話していた。

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 神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」を始めました。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。LINEで友だち登録(無料)した後に投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。

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