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「社内報」ウェブの時代 クイズ解きモンスター倒すRPG風も

2021.01.23
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住友ゴム工業がウェブ社内報で展開した「チュウケイクエスト」=神戸市中央区脇浜町3(同社提供)

住友ゴム工業がウェブ社内報で展開した「チュウケイクエスト」=神戸市中央区脇浜町3(同社提供)

社員用サイトの改良案を募るノーリツのウェブ社内報(同社提供)

社員用サイトの改良案を募るノーリツのウェブ社内報(同社提供)

ウェブ社内報に全面移行したUCCホールディングス=神戸市中央区港島中町7

ウェブ社内報に全面移行したUCCホールディングス=神戸市中央区港島中町7

 ノートパソコンやスマートフォンで見るウェブ版の「社内報」に工夫を凝らす兵庫県内の企業が相次いでいる。速報性、双方向性の特長を生かし、経営方針の浸透や社員間の交流に活用。1日1本のペースで記事を出し、閲覧数が半年で倍増した企業もある。新型コロナウイルス感染拡大で在宅勤務が進み、社内の団結を深める手段としても注目が高まる。(大島光貴、長尾亮太、中村有沙)

 ロールプレーイングゲーム(RPG)を模した画面で、会社の経営目標を定めた新中期計画(中計)に関するクイズを解き、モンスターを倒していく-。

 大手タイヤメーカーの住友ゴム工業(神戸市中央区)が2020年春、ウェブ社内報に掲載した「チュウケイクエスト」。若手に敬遠されがちな経営方針を楽しんで理解してもらう仕掛けだ。

■「通信員」増員

 ウェブ版自体は同年1月に始めた。想定ターゲットは「30歳中堅社員」。クイズ以外に、社員から集めた質問に対し、山本悟社長が新人広報部員に語り掛ける形で答える動画も作った。

 9月には、記事を投稿する「通信員」を14人から21人に増員。社内ニュースを中心に年間350本の記事を掲載した。人気なのは自社事業や財務の解説シリーズ、職場や社員の紹介で、10~12月の閲覧数は4~6月から倍増した。広報部の担当者は「会社に愛着を持ってもらえるよう心を砕いた」と振り返る。

■社員投票

 ガス給湯器メーカー、ノーリツ(同)のウェブ社内報特集「未来のスーパーヒーロー」は、20年春の新入社員を紹介するものだ。

 閲覧者が「リーダー系」「癒やし系」などと書かれた画面上のボタンを押すと、新人の写真が登場する仕掛けにした。マントを着せるなどの「変身」も試せる。広報担当者は「会話のきっかけにし、仲間意識を高めてほしい」と期待する。

 同社が目指すのは、「社員が能動的にクリックする参加型社内報」だ。社員用サイトの使い勝手に対する要望も投票形式で受け付け、社内手続きのページなどの改良に生かしている。

■全面移行

 UCCホールディングス(同)は20年9月、ウェブ版に全面移行。コミュニケーションの活性化を狙い、社員らがリレー形式で投稿するコーナーを新設した。

 「私の愛用コーヒーグッズ」「ステイホームのお供」などのテーマに沿って、投稿者が次に書き込む人を指名する。週2、3人が登場し、コメント欄で趣味の合う人同士が盛り上がることも。書き込みはスマートフォンからも可能で、運営を担当する矢野望月さん(29)は「いつでもどこでも社内報にアクセスでき、見る頻度が上がったとの声も聞く。改良を重ねたい」と話す。

    ■    ■

 社内報コンサルティング会社のウィズワークス(東京)によると、国内最初期の社内報の一つは、神戸市兵庫区にあった鐘淵紡績(現クラシエホールディングス)兵庫工場で1903(明治36)年に出された「兵庫の汽笛」という。高度経済成長期に企業は内容の充実を競ったが、64年東京五輪後の不況やバブル崩壊、リーマン・ショックのたび縮小した。

 2000年頃からウェブ版が登場。ウィズワークスが行っている主要企業へのアンケートで、19年11月に44%だったウェブ社内報の導入率(冊子との併用含む)は、新型コロナウイルス感染拡大後の20年8月に61%に急増した。今春の導入予定を含めると8割近くになるという。

 増加の背景は、コロナ禍を受けたリモートワークで出社する人が減り、冊子を配れなくなったことが大きい。ただ、急な切り替えには課題もある。パナソニックはいったんウェブだけにした後、2年で冊子の発行を再開した。社員アンケートで、約3割がウェブ化で社内報を読まなくなったと答えたためという。

 ウィズワークスの浪木克文社長は「コロナ禍で事業や業績、雇用の見通しに不安を抱える従業員がいる。会社が変わろうとする方向性について、タイムリーに情報共有できるようにすることが重要だ」と話す。(大島光貴)