経済
GIGAスクール構想 IT系企業の生産フル稼働 兵庫県内
小中学生に1人1台ノートパソコン(PC)やタブレット端末を配り、校内LANを整える政府の「GIGAスクール構想」で、関連資機材を手掛ける兵庫県内の企業がフル稼働している。新型コロナウイルス感染拡大を受けた一部施策の前倒しによって、端末をまとめて充電する保管庫や、多くの端末を無線LANに同時接続できるアクセスポイントの需要が高まった。(大島光貴)
学校向け情報通信技術(ICT)機器製造のオーエスエム(宍粟市)は本社工場で、新たに開発した端末用充電保管庫をフル生産している。
箱型の保管庫には42台の端末が収納可能で、台数分のコンセントやタイマーを備える。教室の電力量を考慮し、2系統に分けて夜間に充電する。
コロナ禍の臨時休校を受けて文部科学省が今春、「1人1台端末」施策の達成時期を2023年度から20年度中に前倒しする方針を示したところ、各地の教育委員会などから販社を通じて保管庫を求める声が相次いだ。
同社は設計や製造、物流体制を急きょ整え、7月から約5千台を出荷した。自治体ごとの仕様変更にも対応。兵庫県や宍粟市教委向けを含め、さらに約1万台を納入するめどが立ったとし、奥村正之社長は「目標は計5万台」と意気込む。
「GIGAスクール構想」では高校を含め、全国で校内LAN整備を進める。古野電気(西宮市)は、連結子会社のフルノシステムズ(東京)が手掛ける業務用無線LANアクセスポイントに、全国の教育委員会などから引き合いが集中している。
端末を無線接続するため電波を発信・受信する機器で、同社製品は教室に1台設置すれば約40人の端末を安定して同時接続できるのが特長という。20年3~8月期の売上高は前年同期比4割近く伸びた。9~11月が販売のピークで、12月以降も例年を上回ると見込む。