兵庫県西宮市に流れる津門川の環境保全などに取り組む市民団体「武庫川流域圏ネットワーク」が今年行った調査結果をまとめた。コイやアユなど13種の魚類が確認され、階段式魚道の下流に今年3月に整備した玉石が、アユの遡上(そじょう)に役立ったことが明らかになった。(中川 恵)
津門川は2018年12月、山陽新幹線六甲トンネル内の工事現場からモルタルが流れ込み、多くの水生生物が死んだ。同ネットワークは魚道が整備された後の2003年と、汚染後に河川改修などが進む今年の2回、専門家に依頼して大規模調査を行った。
今年は7月と10月の2度、近畿大学の学生や西宮市職員が同市南昭和町の階段式魚道から阪急門戸厄神駅北側までの計4カ所で調査した。最も魚種が多かったのは魚道地点で、玉石で水流が蛇行したことで生育環境が多様化したと分析。ただ03年の調査と比較すると淡水魚が激減しており、汚染の影響から回復し切れていないことがうかがえた。
調査結果は11月28日に開かれた活動報告会で披露された。同ネットワークの山本義和代表(75)は「自然の回復に期待しながら、県にさらなる河川改修を要望していきたい」とした。
