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弁護士 四宮章夫さん
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弁護士 四宮章夫さん

 兵庫県宝塚市立長尾中学校の柔道部顧問が男子生徒2人に重軽傷を負わせた傷害事件は、顧問の男(50)=起訴済み=が逮捕されて明日で1カ月となる。市教育委員会は事件を把握後も刑事告発せず、被害届の提出についての判断を被害者家族に委ねるなどしており、こうした問題の是非を含め、市教委や学校の望ましい対応、部活動のあり方について有識者に見解を聞いた。

 今回の事件で男が生徒2人にした体罰は感情の爆発であり、暴力そのものだ。過去に3回も処分されながら事件が起きてしまったのは、市教委や学校が再発防止という仕事ができなかったということ。刑事告発をしなかったのは不祥事の責任を回避して身内をかばうことになる。対応そのものに猛省が必要だ。

 体罰をする教員はもちろん、それを容認する学校は、自分たちが特別な立場にあることを忘れているのではないか。商売で客に暴力を振るえば客が離れるが、教員であれば、子どもは簡単に離れることはできない。学校や教員が「傷付けられる痛み」に気付かなくなっているかもしれない。

 教育現場には、自立して行動できる大人を育てようとする視点が欠けている。ルールを守らせようとする以上に、なぜルールをつくるかを考えさせないといけない。それなのに子どもに「右にならえ」と同調圧力をかける手段として、教員は力で服従させようとする。そこには体罰が、しつけという名目の犯罪であるという認識も抜けている。

 公務員が犯罪を認知した場合、刑事告発をするのは当然だ。それが「体罰はいけない」と認識する出発点になる。学校に警察を介入させると、真面目にやっている先生を萎縮させかねないとの議論もあるが、むしろ不真面目な先生の犯罪を告発することで真面目な先生を守る必要がある。

 教員を告発すれば、教員を守ろうとする人々が批判してくるかもしれない。その時は、市町教委や学校が「犯罪行為なので私たちが告発した」と堂々と表明したらいい。体罰を受けた子どもの家族が被害届を出せば「非行に問題がある」などと責められる可能性もあり、市町教委などが矢面に立ち、そういう批判を防ぐ意義もある。(まとめ・名倉あかり)

【しのみや・あきお】1948年、徳島県生まれ。京都大学法学部卒。東京、大阪地裁などの判事補を経て81年から弁護士。2019年に尼崎市教委が設置した「体罰根絶有識者会議」のメンバーを務めた。

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