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丹波豪雨

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川が氾濫した徳尾地区。車や倒木が流れ電柱が倒れていた=2014年8月17日午前5時55分、丹波市市島町徳尾(読者提供)
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川が氾濫した徳尾地区。車や倒木が流れ電柱が倒れていた=2014年8月17日午前5時55分、丹波市市島町徳尾(読者提供)

川が氾濫した徳尾地区。車や倒木が流れ電柱が倒れていた=2014年8月17日午前5時55分、丹波市市島町徳尾(読者提供)

川が氾濫した徳尾地区。車や倒木が流れ電柱が倒れていた=2014年8月17日午前5時55分、丹波市市島町徳尾(読者提供)

 「自宅に水が入ってきて、2階から下りられない」。通報のあった兵庫県丹波市市島町上竹田の民家に急ごうと、上竹田駐在所巡査部長の船越健二(30)はミニパトカーを夢中で走らせた。前山川が氾濫し、道路を流れる濁流の勢いにハンドルが取られた。エンジンに水が入ると車は駄目になる。前山小学校の駐車場に止め、歩いて現場に向かうことにした。

 水は船越の太もも辺りまであった。激しい雨で地面が見えず、すり足で進んだ。たった100メートル進むのに10分かかった。船越が現場に到着したと丹波署に連絡を入れたのは17日午前3時43分。やっとの思いでたどり着いた民家1階には水が入っており、その勢いで玄関のドアは押し開かれていた。水かさは胸の高さまで来ており、中に入るのは不可能だった。激流と雨の音が響く中、船越は庭の石灯籠を上り、2階のベランダから顔を出す住民に、その場で待機するよう伝えた。

      ◇

 「下でこんな状況だったら、上はもっと大変なはずだ」。船越は駐在所近くから同町徳尾方面に向かおうとしたが、道には水が勢いよく流れ込み、ぬかるんでいた。辺りはまだ暗く、これ以上1人で進むのは危険だと判断し引き返した。

 前山小学校には数人が避難していた。船越は人が集まっている同小や消防団の詰め所となっていた前山コミュニティセンターで、避難者や団員らに付近の住民の様子などを聞いて回った。降水量はスマートフォンでこまめに確認していたが、猛烈に発達した雨雲は市島町付近に停滞していた。「いつやむのか」と不気味に思った。

      ◇

 午前5時半ごろ、ようやく雨雲が途切れた。船越は駐在所の隣にある福祉施設「さきやま苑」の前で下鴨阪自治会長の余田善彦(61)と出会った。「徳尾方面に行くなら、一緒に行くわ」と言ってくれた。道には水があふれていたため、車道と歩道を分ける縁石の上を1列になって進んだ。うずたかく積もった土砂やがれきの山を越え、折れて道に横たわった電柱をまたいで進んだ。

 徳尾に到着した瞬間、2人は顔を見合わせた。志賀輝行さん宅が、裏山から押し寄せた土砂によって倒壊していた。隣接する2階建て倉庫も1階部分が土砂にのまれて消えていた。

 近隣住民から、志賀さん夫婦が避難所に見当たらないとの情報があった。船越は「どこかに避難していてほしい」と祈りながら辺りを探した。午前6時すぎ、消防団にいた息子が帰って来た。彼によると志賀さん夫婦はまだ家の中にいるはずだという。

 船越は丹波署に連絡を入れた。「行方不明。1階がない。2階が落ちたような状況。そこの住民と連絡つかず」。現場では余田や消防団員らが手探りで志賀さん夫婦の捜索を始めていた。

(敬称略、年齢は当時)

2015/2/28

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