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丹波豪雨

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「この辺りの道は土砂で埋まっていて車も何台も連なっていました」。当時の状況について地図を差しながら振り返る船越=上竹田駐在所
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「この辺りの道は土砂で埋まっていて車も何台も連なっていました」。当時の状況について地図を差しながら振り返る船越=上竹田駐在所

「この辺りの道は土砂で埋まっていて車も何台も連なっていました」。当時の状況について地図を差しながら振り返る船越=上竹田駐在所

「この辺りの道は土砂で埋まっていて車も何台も連なっていました」。当時の状況について地図を差しながら振り返る船越=上竹田駐在所

 昨年8月16日午前、上竹田駐在所(丹波市市島町上竹田)の巡査部長、船越健二(30)は市島町内をパトロールしていた。ミニパトカーで町を走っているとき「雨が降らなくて良かった」と思ったのを覚えている。夜には宿直勤務を控えており、昼ごろに駐在所に戻って休んだ。お盆の土曜日。宿直明けには淡路島に帰省していた妻と2人の息子を迎えに行くつもりだった。

 雨は午後2時すぎに降り出し、3時35分には丹波市で大雨洪水警報が発表された。降り方は強かったが「通り雨だろう」と特段気にしなかった。

 午後7時44分。国道175号の塩津峠(同町下竹田-京都府福知山市)付近が冠水したという情報が丹波署に入った。「交通整理に向かってほしい」という連絡が来た。

      ◇

 塩津峠は前の週も台風の影響で通行止めになっていた。福知山市は前年に台風で大きな被害を受けた。駐在所を出る際、裏山から流れる水が普段よりも多い気がした。船越は「丹波がこんな雨やったら福知山はもっと大変やろな」と思いながら、革靴を長靴に履き替えた。

 午後8時10分、塩津峠の福知山市側が通行止めになったが、8時48分には解除された。船越らは11時ごろ、いったん丹波署に立ち寄った。途中で見かけた交通事故の処理もあり、制服はびしょぬれだった。「すごい雨ですわ」。署員らとたわいのない会話を交わした。

      ◇

 日付が変わった17日午前0時20分、市内に土砂災害警戒情報が発表された。それから署内は騒がしくなり始めた。1時4分、氷上町で「車両に閉じ込められた人がいるかもしれない」との情報が寄せられた。船越は他の署員と共に現場に行ったが、車はなく流された形跡もない。「自力脱出した」と判断し、署に引き返した。

 2時には市島地域に避難勧告発令。2時20分には国道175号の市島町北岡本周辺で通行止めが始まり、迂回路についての問い合わせなどで、署員が対応に追われた。2時30分、「市島町与戸のキャンプ場で250人が孤立している」との情報が入った。山に囲まれた市島町では無線がつながりにくい場所も多い。当日当直に入っていた警備課長の北山晃宏(55)らは懸命に事実確認をした。

 2時55分、上竹田駐在所の近くから1本の通報が入った。「家の中に水が入って来て、2階から下りられない」。船越はミニパトで現場に急いだ。後ろには応援のパトカーが付いて来てくれた。

 春日町を抜け市島町に入ると、北岡本周辺の道路はすでに冠水し、大型商業施設の駐車場は待避したトラックであふれていた。船越のミニパトより少しだけ車幅の広いパトカーは土砂に阻まれた。「何とか前に進まねば」。船越は通報があった現場に向かうため、アクセルを思い切り踏み水中を突っ切った。「災害が起こった」。船越はこのとき初めて感じた。(敬称略、年齢は当時)

      ◆

 昨夏、丹波市を襲った集中豪雨。市島町では前山川などが氾濫し、いたるところで土砂崩れが発生した。災害に直面した人々の記憶をたどる「証言 丹波豪雨」の第2部は、上竹田駐在所員の動きを中心に再現する。

(藤本淑子)

2015/2/27

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