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丹波豪雨

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証言丹波豪雨【下】
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証言丹波豪雨【下】

証言丹波豪雨【下】

証言丹波豪雨【下】

 「床上に水が入って避難ができない」「土のうがほしい」。8月17日の午前2時台、丹波市消防本部(同市柏原町母坪)では119番などの電話が急に増えた。氷上、春日町からもあったが約6割は市島町からだった。

 3時台にも床上・床下浸水や、斜面が崩れて家に土砂が入ってきたという通報が続いた。「家が浸水している。助けてほしい」。消防が呼び掛けた。「危ないので外には出ないでください」

 市役所市島支所でも、4時すぎまで4回線の電話が鳴りっぱなしになった。だが、職員は「家が流される」という悲痛な声に「柱にしがみついといてください」などと答えるしかなかった。

 雨雲は、丹波市の市島町と氷上町の境にある五台山周辺にかかり続けていた。支所長の余田覚(52)は「なんで市島だけが」と思った。

   ◇

 3時5分、丹波市災害対策本部は、新たに市島町美和地区の673世帯1791人に避難勧告を出した。同23分には、氷上町生郷地区の1643世帯4458人を追加。加古川水系の高谷川の水位が上がっていた。市消防本部は高谷川のそばにあったが、緊急車両を避難させる事態には至らなかった。

 3時半、災対本部は、県を通じて自衛隊に派遣を要請する。キャンプ場「キャンプリゾート森のひととき」(市島町与戸)付近の道路が土砂でふさがり、宿泊客ら多数が孤立したとの情報が入っていた。本部の関心はここに集中した。

 一方の市島支所。普段の職員は12人で、災害時態勢には他部署の旧市島町採用者らも含まれていた。約60人全員の招集は午前1時15分ごろだったが、4時ごろようやく全員集まることができた。

   ◇

 空が白み始めた5時半ごろだった。市島町上竹田の福祉施設にいた上竹田駐在所の巡査部長船越健二(30)は、同町下鴨阪自治会の会長から「老夫婦と連絡が取れない」と聞いた。

 一緒に歩いて同町徳尾の民家に着くと、押し寄せた土石流で2階建ての1階部分が無くなっていた。1階には志賀輝行さん(79)と妻(73)がいるはずだった。辺りは、土砂災害警戒区域。16日午後10時前後に市職員が志賀さん宅を訪れ、注意を呼び掛けていたという。

 船越が丹波署に連絡したのは翌午前6時49分。青野ケ原駐屯地(小野市)からの自衛隊は、森のひとときへの対応が地元だけで可能と分かり、志賀さん宅に転進。県警や消防との懸命の捜索で妻は救出されたが、志賀さんは助からなかった。

 農村の目を覆うような惨状は、次第に明らかになった。住民らの話から、志賀さん宅など各所で土砂災害が起きたのは、午前3時ごろ以降と考えられている。(森 信弘、藤本淑子)

=敬称略、年齢は当時

2014/12/24

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