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二見北小学校の図書室に設けられた平和文庫。開設式では、寄贈した女性の思いを赤松弘一校長が児童たちに伝えた=明石市二見町福里
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二見北小学校の図書室に設けられた平和文庫。開設式では、寄贈した女性の思いを赤松弘一校長が児童たちに伝えた=明石市二見町福里

 二見北小学校(兵庫県明石市二見町福里)が、校内の図書室に平和や家族の尊さについて学べるコーナー「平和文庫」を設けた。戦時中に目の前で家族や友人を失い、つらい記憶と今なお向き合い続ける同校区内の女性(83)が「戦争がどんなに苦しく悲しいことか伝えたい」との思いで、本を寄贈したのがきっかけだった。(長尾亮太)

 終戦間際の1945年7月末。女性が暮らしていた鹿児島県内の自宅一帯に米軍の機銃掃射の銃弾が撃ち込まれ、祖父や宝塚市から疎開していた同級生の男児が亡くなった。「弾丸が雨のように降り注いだ後、辺りにおびただしい数の薬きょうが散らばっていた」。女性のまぶたの裏には今も当時の光景が焼き付いている。

 終戦後の食糧難は、サツマイモやカボチャの茎で飢えをしのいだ。弟は母親の出なくなった母乳の代わりに、ヤギの乳を飲んで育った。そんな中で女性は勉強を十分にできず、好きな本も読めなかったという。

 女性が小学校を気に掛けるようになったのは60代になってから。敬老の日に合わせて健康を願うはがきが児童から届き、感謝の念が芽生えた。新型コロナウイルスの流行で我慢を強いられる中、いろんな本と出合って子どもたちの勉強に役立ててもらおうと寄贈を思い立った。

 戦争に関する本に加え、名作童話、科学や文化の図鑑など約100冊をそろえた。証言や写真、絵を通して戦争の全容をつかめる「語り伝える-」シリーズや、広島の原爆体験を描いた絵本「いわたくんちのおばあちゃん」などがある。本を収める棚は赤松弘一校長が手作りした。

 このほど図書室で催された文庫開設式に女性の出席はかなわなかったものの、児童代表の大西健澄君(12)は「たくさん本を読み、さまざまな分野への興味を深めたい」とあいさつし、集まった児童らが拍手を送った。

 女性は取材に対し「児童の皆さんには戦争の悲惨さを知ることで、どんな困難にもくじけない強さを身に付けてほしい。私は戦火をくぐり抜けたので、コロナ禍なんかには負けませんよ」と力強く語った。

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