正平調

時計2020/09/28

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小説、ルポ、エッセー、コピー、釣り、旅、食、そして酒…。作家開高健さんの多彩な業績は、いつ読んでも新しい。昨年没後30年、今年は生誕90年に当たる◆「求心力で書く文学があるのなら遠心力で書く文学もあっていい」。そんな創作スタイルで生まれたのが傑作ルポ「ずばり東京」だ。1964年の東京オリンピック前後、激しく変ぼうする首都の様子を描いた◆書斎から飛び出して好奇心の赴くまま現場を見た。「ここで思いつかれ、編みだされた知恵と工夫と狡智(こうち)が地方を支配する」。いまなお首都の影響力は衰えを見せない◆これに対抗し「副首都」を目指すのが大阪都構想だ。大阪市を廃止し四つの特別区に再編する。府と市が一つになって成長力を高めるという。11月には住民投票がある◆大阪は開高の原点の地だ。東住吉区から旧制天王寺中、大阪市立大に通った。「あたたかい泥にむずむずと手をつっこむ快感には恍惚(こうこつ)とならせられる」。近鉄北田辺駅の文学碑は豊かな自然に触れた記憶を刻む◆1970年、スモッグが覆う大阪に戻り衝撃を受ける。「私の知っている大阪がことごとく消えてしまった」。ハイマートロス(故郷喪失)と表現した。いま「都」になろうとする大阪を見たら作家は何を思うだろう。2020・9・28

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