正平調

時計2020/09/01

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悪魔の家族がいた。学校から帰った子どもに父が尋ねる。きょうはいたずらをしたか。友だちを殴ったか。何? していない? せっかくお父さんたちが悪い手本を示しているのに!◆嘆く父に子どもは答えた。「ぼくは心のやさしいひとになりたいのです」。フランスの児童文学、グリパリ著「木曜日はあそびの日」の一節を引いた。寓話(ぐうわ)の意味するところを、きょうの「防災の日」に考える◆予期せぬ災厄が社会に降りかかり、世情に不安が広まったとき、どうしたわけか“悪魔の父さん”がそこかしこから顔をのぞかせる。人を傷つける流言やいわれのない悪口をばらまき、友だちを差別しろと言う◆福島原発事故のあと、福島からの避難者がホテルでの宿泊を断られたことがあった。見たり聞いたりした悪いお手本を子どもたちはまねたのだろう。学校でもいじめが起きた。「放射能がうつる」などと言って◆今もまた、新型コロナウイルスに感染したというだけで心ない中傷を浴びせられる患者や家族がいる。他人の行動をとがめるような鋭い目つきは怖いが、気づかぬうち自分の目がそうなっていないとも限らない◆「心のやさしいひとになりたい」とは逆境に効くおまじない。唱えれば、災害に強い社会に一歩ずつ近づく。2020・9・1

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