正平調

時計2020/08/31

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この夏、本紙で連載した「特攻兵の涙」に登場する元海軍主計大尉、潁(え)川(がわ)良平さん(99)が取材記者に自作のレポートを託した。一読して、深く考え込んだ◆タイトルは「敗戦祖国の最大危機を救った人 中津留達雄海軍大尉」。中津留大尉は玉音放送の後、最後の特攻として沖縄に飛び立った。ベストセラーになった城山三郎さんの著書「指揮官たちの特攻」の主人公である◆命じたのは宇垣纏(まとめ)海軍中将。若い兵士に特攻を命じ続け、終戦を知りながら、最後に中津留大尉を道連れに出撃した。だが名パイロットとして名をはせた中津留大尉は、米軍に損害を与えることなく小島に衝突し絶命する。なぜか。最後の場面を描けず、城山さんは悩み続けた◆そこで“奇跡”が起きる。講演会の後、雨が降った。車を待つ間、元海軍士官と立ち話をする。特攻の話なら、と潁川さんが紹介され、城山さんは小さな戦友会誌の存在を知る。そこにはある飛行予備学生の言葉が記され、「宇垣特攻」のなぞに迫るヒントが…◆潁川さんの解釈は、終戦後に米軍を攻撃すれば戦争が継続しかねず、中津留大尉はそれを避けた、と。城山さんも小説で同様の立場を取った。真相はどうだろう◆戦後75年。埋もれた史実。託されたレポートの重さよ。2020・8・31

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